バンドの魅力って、どういうところから滲んでくるかわからない。ヒリヒリとした緊張感に非日常の刺激を感じさせてくれるバンドもいれば、同じ方向を見て走り続ける一体感が清々しいバンドも。ストレイテナーは間違いなく後者で、一言で表すと信頼、みたいな言葉がぴったりくるのではないだろうか。
2018年にメジャーデビュー15年、バンド結成20年という大きな節目を迎えた4ピースバンド、ストレイテナー。2人から3人へ、そして4人体制へと輪を広げながら音楽の幅も広げてきた彼らの、周年リリース最後となるライブ映像作品が本作。19年1月、幕張イベントホールにて開催されたライブの模様を完全収録した2枚組だ。
疾走するギター＆ドラムで会場を席巻し、オーディエンスの温度を一気に高めた序盤。続く中盤は秦基博をゲストボーカルに迎えてはじまり、しばしミドルテンポの楽曲でほどよくクールダウン。そして終盤、次の10年、20年へと駆け出すような『シーグラス』の演奏はまさにクライマックスにふさわしい胸アツの名演で……20年という時間のなかで培ってきたあらゆる力と魅力を感じられる展開だった。さらに個人的に注目してしまったのは、『シーグラス』後、アンコールを受けて登場した後のゆるゆるMC。ゆるゆるのなかにもこれぞストレイテナーという調和があってとにかくいい！ この瞬間だけでも、彼らが愛され続けてきた理由の一端を掴める気がした。
（ユニバーサル・ミュージック・5000円＋税）＝玉木美企子
