シム・ウンギョンと松坂桃李がダブル主演! メディアと権力の対峙を描いた社会派サスペンス「新聞記者」

シム・ウンギョンと松坂桃李がダブル主演! メディアと権力の対峙を描いた社会派サスペンス「新聞記者」

韓国映画界の至宝と称されるシム・ウンギョン演じる新聞記者・吉岡と松坂桃李が演じるエリート官僚・杉原の葛藤を通して、メディアと権力の対峙を描いたサスペンス映画「新聞記者」。ダブル主演の2人に作品への思いを聞いた。

──非常にリアリティーのあるスリリングな作品になっていますが、台本を読んだ時の印象は?

ウンギョン「ジャーナリズムの話ですが、2人の周りにいる人々の人間模様、人間群像が伝わってきました。私はその人間群像に興味を持ったし、今の時代の世の中の人々の話だなと感じました」

松坂「社会的なテーマを含んでいるんですけど、自分の目の前に起きている個人的なことにも置き換えることができる作品だなと思いました。日々の生活を送っていく中で、果たして本当に自分自身の意志で判断して、行動しているのかっていうことを再確認する作品ですね」

ウンギョン「この作品は、“真実と選択”についての話だと思っていますが、出演をきっかけにその二つについて私自身もよく考えるようになり、私が信じている真実は本当なのか。人生はいろんな選択をして生きていかなければならないですけど、じゃあどんな選択をするべきなのかなど、考える時間が増えました。特に、今の時代ってたくさんの情報がすぐに入ってきますので、だからこそ自分自身でいろいろなものを見て、ちゃんと考えないといけないと思います」

松坂「情報が入りやすくなることで、自然に流されてしまうところも人間にはあるからね。自分の意見があったはずなのに、何かの情報に触れた途端、AからBになりやすい時代。あらためて自分の目の前にあること、起こったことに対して、もう一度、自分の考えや思いを再確認して向き合うべきだと思います。そうするきっかけにこの映画がなったらうれしいです」

──新聞記者とエリート官僚を演じる上で、それぞれどんな準備をされましたか?

ウンギョン「私は、新聞社を見学して、記者の方々とも話す機会があったんですが、それが芝居の準備の助けになりました。映画も参考にしました。例えば、ハリウッド映画の『スポットライト 世紀のスクープ』(2016年)を見て、マーク・ラファロという俳優さんのお芝居は勉強になりました。彼の演技の自由さや自然さが、本当に新聞社にいる記者に見えたんです」

松坂「僕が演じた杉原は、内閣情報調査室官僚なんですけど、調べれば調べるほど分からない、ベールに包まれている仕事なんです。なので、役職うんぬんではなく、台本に書かれている杉原の感情を丁寧に表現して、自分自身も揺らいでいるような感覚になって演じました」

──劇中で杉原は大きな選択を迫られますが、実際に何か選択する時に大切にしているのは?

松坂「指針になるのは、直感。こっちのほうがいい気がするっていう」

ウンギョン「私の場合、直感ではなかなか難しいですね。選択する時は、これが合っているのか、すごく悩んでしまいます」

松坂「でも、何か選択をした瞬間は、それが間違っているかどうか分からない。ただ、自分で選んだからこそ、その選択に向き合っていくことが、最終的には悔いのない選択になっていくっていうか。選んだことが間違いなのか分からないけど、選んだからには、それが間違いじゃなくなるように行動していくのが大事なのかな」

──次回共演するなら?

松坂「今回はすごく重みのある作品だったから、次は真逆でコメディーとか?」

ウンギョン「いいですね!」

松坂「兄妹役とかね!」

ウンギョン「あと、お互いに日本語と韓国語しか話せなくて、話が通じなくてすれ違う設定も面白そうですね(笑)!」

【OUR MOVIE~サスペンス】

ウンギョン「いわゆるサスペンス映画ではないですけど、ガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』(2004年)は、リアルな演出が本当にドキドキしました。実際に起きた事件をテーマにした作品なんですけど、とても残念で、すごく残酷なストーリーです。今でも、初めて見た時のショックが忘れられません。サスペンス的な演出はありませんが、サスペンス映画のような緊張感があるのでオススメです」

松坂「僕は、デヴィッド・フィンチャー監督のサイコサスペンス『セブン』(1996年)かな。ラストシーンで銃を構えた時の、すごくリアルなドキドキ感は今も印象に残っています。フィクションではあるけど、圧倒的なリアリティーがあるというか、サスペンスに限らず、映画ってリアルであればあるほど、見ている側も物語を疑似体験できるし、本気でハラハラするんだと思う。そのドキドキ感のリアリティーが、優れたサスペンス映画にも必要な要素じゃないかな」

ウンギョン「ちなみに、私は『アナと雪の女王』(14年)でもドキドキしちゃう(笑)」

【プロフィール】


シム・ウンギョン
1994年5月31日韓国生まれ。双子座。B型。2004年、ドラマ「張吉山」でデビュー後、韓国で「サニー 永遠の仲間たち」(11年)などに出演。現在は、日本での活動も本格化し、映画「ブルーアワーにぶっ飛ばす」10月11日が待機中。

松坂桃李(まつざか とおり)
1988年10月17日神奈川生まれ。天秤座。A型。2009年、「侍戦隊シンケンジャー」でデビュー。近年の出演映画は、「不能犯」(18年)「居眠り磐音」、(19年)、待機作として声を務めた映画「HELLO WORLD」(9月20日公開)、映画「蜜蜂と遠雷」(10月4日公開)がある。

【映画情報】


「新聞記者」
6月28日公開
監督/藤井道人 出演/シム・ウンギョン 松坂桃李 本田翼 高橋和也 北村有起哉 田中哲司

新聞記者・吉岡(ウンギョン)に、現政権を揺るがす極秘情報が届いた。吉岡が真相の究明に動く一方、内閣情報調査室官僚・杉原(松坂)は、己の信念と現実の間で葛藤していた。2人の人生が交差し、衝撃の真実が明らかになる。

取材・文/大久保和則 撮影/髙橋定敬 ヘア&メーク/遠山美和子「THYMON Inc.」(ウンギョン)、AZUMA「M-rep by MONDO-artist」(松坂) スタイリング/Babymix (ウンギョン)、丸山晃(松坂)

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