心身充実の桐生、史上初「9秒台」決着も?

©株式会社京都新聞社

5年ぶりの日本選手権優勝を狙う桐生(5月、ヤンマースタジアム長居)

 27日に博多の森陸上競技場で開幕する陸上の日本選手権の男子100メートルで、前日本記録保持者の桐生祥秀(日本生命、洛南高-東洋大出、彦根市出身)が5年ぶり2度目の日本一を狙う。今季は10秒0台を4度マークするなどハイレベルな走りを披露し、充実感が漂う。最大のライバルは桐生の9秒98を上回る9秒97の日本新記録をマークしたサニブラウン・ハキーム(フロリダ大)。日本選手権史上初の9秒台決着の可能性もある。

 今季の桐生は一回り成長した姿を見せている。初戦で10秒08、200メートルで自己ベストの20秒39をマークして好発進した。際立つのは競り合いの中でも走りを崩さないレース内容だ。4月のアジア選手権で終盤に先頭に出て優勝すると、5月のゴールデングランプリ長居では、17年世界選手権王者ジャスティン・ガトリン(米国)と激しく争いながら、自身3度目の10秒01で2位に食い込んだ。「今までの10秒01と中身が違う」と自信を深めた。

 好調の理由は心身の充実だ。冬のトレーニングを順調にこなし、シーズン中も継続できているという。土江コーチは「(桐生が)自分から前向きに取り組みができている」と太鼓判を押す。メンタル面でも成長を見せている。今月2日の布勢スプリントではあえて「記録を狙う」と重圧をかけてレースに挑み10秒04、10秒05をマーク。気持ちのコントロールを意識する試みに桐生は「陸上にしっかり取り組めていると思う」と手応えを語る。

 ライバルは強力だ。サニブラウンは力強い加速で9秒台を2度たたき出している。全米大学選手権という大舞台でも力を発揮するメンタルも強い。小池祐貴(住友電工)は10秒04まで自己ベストを伸ばし好調だ。

 桐生は日本選手権で毎回のように優勝候補に挙げられながら、大学1年時以来、頂点から遠ざかっている。土江コーチは「勝負できる能力があるのに自分で走りを崩していた」と分析。桐生は「ライバルがいる中で優勝したい」と覚悟をにじませる。男子100メートルは27日に予選と準決勝、決勝は28日に行われる。