【MLB】セントルイスでまた“名場面” 難病の母親のために移籍したドラ1の“帰還”に総立ち

セントルイスのファンに総立ちで迎えられたアスレチックスのスティーブン・ピスコッティ【写真:Getty Images】

ピスコッティにスタンディングオベーション、本人は「多くの感情がこみ上げてきました」

■アスレチックス 7-3 カージナルス(日本時間26日・セントルイス)

 アスレチックスのスティーブン・ピスコッティ外野手が25日(日本時間26日)、古巣カージナルスの本拠地ブッシュ・スタジアムに凱旋。野球熱の高いセントルイスのファンからスタンディングオベーションで迎えられ、感動を呼んでいる。

 ピスコッティは「6番・右翼」でスタメン出場。2回1死走者なしで迎えた第1打席で名前がコールされると、スタジアムは総立ちとなった。名捕手のヤディアー・モリーナはすっと立ち上がり、地面のゴミを拾うような仕草を見せながらマウンド方向へ。ファンが拍手を送る時間を作ると、歓声は徐々に大きくなり、ピスコッティはヘルメットを掲げてこれに応えた。

 23日(同24日)までエンゼルスとの3連戦を行っていたブッシュ・スタジアムは、移籍後初めて帰還した“レジェンド”のアルバート・プホルスをスタンディングオベーションで迎え、感動的なシーンが話題となったばかり。ファンやモリーナをはじめとするカージナルスの選手たちは、ピスコッティも同じように熱烈に歓迎した。

 ピスコッティは2012年のドラフト1巡目追補(全体36位)でカージナルスに入団。有望株として順調に成長し、2015年にメジャーデビューを飾った。しかし、2017年にトレードでアスレチックスに移籍。その理由は全米で大きな話題となった。

 当時、26歳だったピスコッティには難病の「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)を発症した母親グレッチェンさんがいた。ピスコッティはグレッチェンさんの近くでプレーするため、療養先だったカリフォルニアに移籍。このトレードを実現させた両チームのフロントにも称賛の声が上がっていた。グレッチェンさんは闘病生活の末に昨年5月にこの世を去ったが、経緯を知るセントルイスのファンはこの日、ピスコッティを拍手で迎えた。

ファンは感動「モリーナは本物の紳士」「カージナルスファンは球界最高」

 試合後、地元テレビ局「FOXスポーツ・ミッドウエスト」は公式ツイッターで、ピスコッティが地元メディアに「多くの感情がこみ上げてきました。家族もいましたし、母も僕と一緒にいてくれたと思います。このフィールドに戻り、あのように歓迎されることはとても特別でした」と話す映像を公開。やはり、特別な思いがあったようだ。

 また、カージナルスは球団公式ツイッターで「セントルイスがスティーブン・ピスコッティへの愛を見せた!」と、スタンディングオベーションが起こった打席の映像を公開。すると、ファンからは称賛の声が続々と上がった。

「ヤディアー・モリーナは本物の紳士だ」
「あのトレードは未だに球界で最も素敵なことの1つ」
「このようなものを見ると、カージナルスファンであることが誇らしくなる」
「素敵!(アスレチックスファンより)」
「カージナルスファンは球界最高だと思う」
「彼が戻って嬉しい!!」
「カージナルスファンは素晴らしい」
「これがセントルイスが最高の野球の街だという理由だ!」

 イチロー氏も現役時代に熱烈な歓迎を受けたセントルイス。またしても名場面が生まれた。(Full-Count編集部)

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