新劇場整備の意見活発 横浜市役所で検討委が初会合

新たな劇場整備検討委員会であいさつする林市長=横浜市役所

 横浜市の新たな劇場整備検討委員会の初会合が24日、同市中区の市役所で開かれた。都市経営や文化芸術、観光、教育などの分野の有識者ら11人が委員に就任。「一般の人たちが本当に造ってほしいと思える物か、という視点が必要」「街として楽しめる場所になることが重要」など、さまざまな意見を述べた。

 市側は、これまでの検討状況を報告。オペラ、バレエなどの本格的な舞台装置を備えた施設が市内にはなく、新たな劇場によって身近に観賞できる機会の拡大、実演団体や都心臨海部の活性化などの効果が期待できるとした。

 教育の観点から劇場の意義を訴えた委員がいる一方、「一般の人たちが本当に必要とするのか。反対意見も視野に入れるべき。(市民の)興味や関心をつなげる方向で議論したい」「舞台芸術とは縁遠い人に、どうやって親しんでもらうかが大事」といった意見も出された。また、「古典的なオペラやバレエだけでは未来がない」と指摘した委員は、ロボットや人工知能(AI)を組み合わせるなど、劇場を新たな文化芸術を発信する拠点とすべき、との持論を展開した。

 開会あいさつで、林文子市長は「文化芸術の創造発信とともに、にぎわいづくりにつなげられる劇場の整備が必要」と強調。一方で反対意見にも配慮し、「厳しい視点」で議論するよう求めた。委員長には、日本総合研究所名誉理事長にあたる高橋進チェアマン・エメリタスが選ばれた。

 検討委は今後、5回程度開催。本年度のできるだけ早い時期に提言をまとめる予定。

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