ミステリー小説の犯人の名前をAmazonレビューに書く妨害行為が多発 なぜAmazonは作者の削除依頼を聞き入れないのか?

いま問題がジワジワと広がりつつある『世界で一番かわいそうな私たち 第一幕 (講談社タイガ) 』。これは計画的な嫌がらせの可能性も

小説家の綾崎隼さんが『Amazonのレビューにミステリーのネタバレを書かないで』と悲痛な思いを吐露したことが話題になっています。レビュアーとAmazonに削除を直談判するも聞き入れてもらえず……。

事の始まりは、綾崎さんがAmazonレビュアーを名乗る人物に直接メッセージを送ったことでした。

『突然すみません。「世界で一番かわいそうな私たち」第二幕と第三幕のレビューを消してもらえませんか。何年も前から看過出来ない部分まであらすじを書かれてしまうことに悲しい思いをしていました。良心の問題と考えていましたが、犯人の名前を書かれるのは、さすがに耐えられません。』『公式のあらすじに書いていないことは、ミステリーとして読者に驚いてもらいたいと考えている部分です。お願いします。』と訴えかけるも、Amazonレビュアーを名乗る人物からの返信はなく、レビューが消されることもなかったようです。

『消してもらえないか頼んでみましたが、完全無視なので、どうしようもありませんでした。作者は我慢するしかないってことですかね。今に始まった問題でもないんだけど』と悲痛な思いを吐露していました。

【1】『世界で一番かわいそうな私たち』の犯人名までAmazonのレビューに書かれてしまう問題。アカウントを見つけたので、消してもらえないか頼んでみましたが、完全無視なので、どうしようもありませんでした。作者は我慢するしかないってことですかね。今に始まった問題でもないんだけど。 https://t.co/Q0IF5j0zNB

— 綾崎隼@LINEスタンプ販売中 (@Syun_Ayasaki) June 20, 2019

綾崎さんはデビューした頃からずっと同じ人物に悩まされ続けていたそうで、過去作品でも『秘密にして欲しい真相部分をほとんど書かれてしまいました。作者としては常識的に許される範囲を逸脱していると思っています』『読者さんにファンレターなどでAmazonのレビューでネタバレを見てしまい、本を読む前に真相を知ってショックだったと言われたことも複数回あります』と、実害が出ていることもあげ、

『これからも新刊を出す度に8割、9割のあらすじとネタバレを書かれることがあるのかなと思うと憂鬱です』としていました。

なぜこの人物は、レビューにネタバレを書いているのでしょうか?

Amazonレビュアーを名乗る人物は、今回の件について自身のTwitterで『敢えて放っておいたんだが……他人を炎上させるつもりで自分にまで火をつけてどうするんだか。もう知らんぞ』『声の大きさに任せて押し通そうとする相手には「無視」が第一選択肢』と反応していました。

某氏の打切り巻のレビュー、発売から一ヶ月近く経ってから書いた出遅れ過ぎた代物で普通は「参考になった」なんか入らんのだが、ここ2日ぐらいで9票も入ってるし。こういう事になるから敢えて放っておいたんだが……他人を炎上させるつもりで自分にまで火をつけてどうするんだか。もう知らんぞ。

— ヤボ夫 (@amareviewer) June 21, 2019

こうしたAmazonのレビューにミステリーのネタバレを書く行為については、

「推理小説の犯人ばらすのは!だめでしょ!」

「Amazonのレビューの本来の目的は『その商品を買うか否かの判断材料にする』だと思うので、そのシステムで商品価値が損なわれるのはなんか矛盾がある気がする」

「レビュー内で犯人をバラすことで作者だけじゃなくてこれから読む筈だった人の利益まで損なってるわけで、”なあ、レビュー欄って何のため、誰のためにあるのか解ってる?”って話なんだよな」

「作者が気の毒だと感じると同時に、個人的には”少しでも読むつもりがあるなら先にレビューなんか見るべきじゃない”と思う。」

「作者に対する悪意とかでやっているのでは無いなら、単純に本の感想を述べる才能が絶望的に無いだけなのかもしれない」

「ミステリーの犯人をネタバレするって営業妨害もいいところだわ。個人ブログならまだしもアマゾンて。最低。」

「最低限タイトルで”※注意!ネタバレ有り!”と明示ぐらいはしておくべき」

「知ってしまったら知る前には戻れないので、誰でも見られるところでネタバレぶちかますのは控えめに言って迷惑。」

といった意見が寄せられていました。

その後、綾崎さんはAmazon側にレビュー削除の直談判をするも、聞き入れてもらえず、

『Amazonのレビューに、嘘、ミステリーの犯人、トリック、結末を書き込まれても、削除されることはない。レビューした方に削除を拒否された時点で、耐える以外にないと、今回、学びました。僕以外にも苦しんでいる人がいることを知っています。何も出来なくて申し訳ありませんでした』

としていました。そのレビューは今も残ったままです。それにしても一番不可解なのは「発行元」の出版社は何も対策を講じていないのか? ということですね。(文◎絹田たぬき)

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