長崎県外の地域独自カード事情 多様なサービス、利点 大分、宮崎はニモカに切り替え

 全国に交通系の地域独自カードは少なくとも約40種類ある。九州は本県のほか、北九州市、熊本県、鹿児島県で運用されている。これに対しニモカは福岡市を中心に普及しており、大分、宮崎両県では地域独自カードからニモカに切り替えた。
 鹿児島県では、いわさきグループのバスや船で使える「いわさきICカード」と、鹿児島市営の路面電車やバスなどで使える「Rapica(ラピカ)」の2種類あり、相互利用も可能だ。各社いずれもニモカなどの10カードには対応しておらず、市交通局は「市民から『不便』という声は聞かない。観光客の大半は1日乗車券を使う」。
 ただ将来的には10カード片利用の導入も視野に入れており、QRコード決済など技術革新の動向を見極めていくという。
 熊本県は曲折を経た。路面電車を運行する熊本市交通局が2014年、ニモカを先行導入。九州産交など他のバス・電車各社は「費用が割高」と参加せず、15年4月に「くまモンのIC CARD」の運用を開始した。
 市は市民の利便性を考慮し同8月、「くまモン-」も利用可能にした。ニモカ導入時と同程度の追加投資1億6800万円を要し、補助金はなく自社で全額負担した。翌16年3月には他社もニモカに対応し、相互利用が実現した。
 「くまモン-」運営主体の肥後銀行によると、クレジット機能はなく、電子マネーのみだが、発行枚数は21万枚、加盟は500店を超え、さらに拡大を図っている。ただ九州産交によると、同社バスの利用割合は「くまモン-」が多いが、ニモカが伸びているという。
 地域独自カードを取り入れた各社は、福祉パスなど多様なサービス・機能を柔軟に組み合わせられる利点を挙げる。富山市や高松市では、地元大学の学生証や市役所の職員証と組み合わせている。

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