ヤマハ&ビニャーレスがMotoGPオランダGPで2019年シーズン初優勝。中上はハードクラッシュも無事

 MotoGP第8戦オランダGP MotoGPクラスの決勝がオランダのTT・サーキット・アッセンで行われ、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が優勝した。ビニャーレスの優勝は2019年シーズン初。2018年シーズン第17戦オーストラリアGP以来の勝利となった。

 このレースでは予選Q1でのスロー走行によりミゲール・オリベイラ(KTMテック3・レーシング)が3グリッド降格のペナルティを受けている。

 レースは気温25度、路面温度44度のドライコンディションのもと始まった。ホールショットを奪ったのはアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)、そして2番手にチームメイトのジョアン・ミルが続く。

 ポールポジションスタートのファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)は3番手、4番手にマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、5番手にマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)。チーム・スズキ・エクスターのふたりがスタートをきめてワン・ツー体勢を築く。

 しかし3周目、リンスが9コーナーで痛恨のスリップダウン。リンスのクラッシュによりトップに立ったミルだったが、クアルタラロ、ビニャーレス、マルケスに相次いでオーバーテイクを許し、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)にも交わされポジションを落とす。

 一方、トップに立ったクアルタラロは4周目に自己ベストを叩き出しながら後方を引き離していく。クアルタラロを追っていたのは2番手のビニャーレスだったが、4周目にラインを外してマルケスに交わされ、3番手に後退。ビニャーレスに代わって2番手に浮上したマルケスがクアルタラロに襲いかかる。

 5周目、バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)と中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が8コーナーで激しくクラッシュ。ふたりは直前に交錯したとみられ、高速でグラベルに突っ込み、マシンとともに砂煙を上げながら転がった。その後、ロッシは自力で立ち上がった様子が確認されたが、中上はグラベルに横たわったままだった。

 トップ争いはクアルタラロ、マルケス、ビニャーレスがワンパックとなり、その約0.4秒後方にドヴィツィオーゾが続く展開。マルケスがクアルタラロに仕掛ける動きを見せれば、ビニャーレスがマルケスに襲いかかる、緊迫したポジション争いが続く。

 そんななか、11周目にマルケスがクアルタラロからトップを奪取。しかし、12周目の2コーナーでマルケスがラインを外しややはらむミスを犯すと、クアルタラロはそれを見逃さずマルケスをオーバーテイク。クアルタラロが再びトップに立った。

 2番手に下がったマルケスの後ろには、ぴたりとビニャーレスが続いている。4番手のドヴィツィオーゾはビニャーレスの約1.5秒後方となり、その差は周回ごとに開いていった。

 14周目、ビニャーレスがマルケスのインに飛び込みオーバーテイク。ビニャーレスは16周目にクアルタラロを交わし、ついにトップに浮上。クアルタラロはマルケスにも交わされ、3番手に後退する。クアルタラロはふたりに交わされると、少しずつビニャーレス、マルケスから離されていった。

 20周目、ビニャーレスが自己ベストを更新し、さらにその翌周にも自己ベストを叩き出す。マルケスとの差は約0.6秒。見た目上にも、マルケスが勝負を仕掛けられる距離とは言い難い差ができあがった。

 その後方では4番手争いが激化。ドヴィツィオーゾ、ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ・チーム)、ミル、さらにフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)の4人のライダーによるポジション争いが展開される。残り2周の2コーナーで見るがラインを外すミス。4番手争いは3人にしぼられた。

 その前方では、ビニャーレスがマルケスに対しアドバンテージを4秒以上に広げていた。ビニャーレスはそのままトップでチェッカー。自身としてもヤマハとしても、2019年シーズン初優勝を飾った。ヤマハ、そしてビニャーレスが優勝したのは、2018年シーズン第17戦オーストラリアGP以来のことだ。

 2位を獲得したのはマルケスで、2019年シーズンで初めてフロントロウを逃した予選4番手から見事にトップ争いに食い込んだ。3位はクアルタラロ。序盤のトップ走行から終盤は単独走行となったが、2戦連続の表彰台獲得となった。

 4位争いはドヴィツィオーゾが制し、5位にはモルビデリ、6位にペトルッチが続いた。激しいクラッシュを喫した中上はメディカルセンターに運ばれ、その後、MotoGPの公式SNSで無事が報じられている。

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