DRONEII、2019年版ドローン市場マップ発表。細分化、多様化する業界の今を知る

2019年版Mapは下記、記事文末よりPDFをダウンロード可能 昨年に引き続き、DRONE.jp提携先のDrone Indusry Insight社(以下:DRONEII)が2019年版ドローン市場マップ(Drone Market Environment Map 2019)を作成、発表した。世界中の各ドローンメーカーの分野と関係がわかる業界関係者必見の一つだ。2016年版と比較にならないほど、今のドローン業界の活況な事がわかるだろう。ぜひ、実際の2019年版ドローン市場マップPDFをダウンロードしていただきたい(非常に混沌としているため実サイズで見て実感していただきたい)。それでは見ていこう。

2019年版ドローン市場マップ(Drone Market Environment Map 2019)は最新の無料第4版だ。世界中の商業ドローン業界に関する最も関連性の高いスナップショットを提供する。

最新版には、いくつかの改善点がある。第一に、マップにどの団体や個人を載せるかについてより厳しく検討した。いま現在のコアビジネスがドローンである企業、組織、イベント、協会、またはドローン市場で重要な役割を果たす人物だけがマップに記載されている。

もうひとつの改善点は、地図をより透明性があり民主的なものにしたことだ!マップのスポット取得を誰もが利用できるようにするため、企業が少ない手数料でスポットを予約できるようにし、それらが確実にフィーチャーされるシステムを導入した。

この独創的なシステムへの反応は圧倒的にポジティブで、2019年、これまでで最も用途の広いマップだ。これにより、世界中の中小企業やスタートアップ企業が、ドローン業界における主要企業の隣に特集されるチャンスが生まれた。

ハードウェア分野:有人ドローンとカウンタードローンソリューションの席巻

ハードウェア分野において最も話題を集めているのは、有人ドローン(eVTOL/air taxis)とカウンタードローン企業だ。2019年現在、有人ドローン分野だけでも200近くの構想があり、アーバン・エア・モビリティ(Urban Aerial Mobility:UAM)についてのカンファレンス開催が増えつつあると同時に、初のデモンストレーションも行われた。一方、ガトウィック、ヒースロー、フランクフルト、ドバイ、シンガポールをはじめとする多くの空港で最近起こった事故により、カウンタードローン技術への関心も高まっている。

プラットフォーム製造企業に関するマップの変更の大部分は、合併の話題だ。大企業が潜在的可能性のある中小企業を買収し、他の企業は時間も資金も使い果たしたと言える。

例えば、AeroVironment社はPulse Aerospace社(2570万ドル)を、Flir Systems社はAeryon Labs社(2億ドル)を買収した。

もうひとつ顕著な傾向として挙げられるのは、ハードウェア製品の専門化だ。今日では、ハードウェアメーカーは配達システム、ドローンインボックス(drone-in-a-box)ソリューションなどのよりニッチな製品を提供している。

一方、コンポーネントおよびシステム製造企業は(当社のドローン産業バロメーターが指摘したように)マーケティングと販売に対してより多くの拠出をしている。これは、次のいずれかが原因だ。

1)現在では業界が十分に成熟し、大量販売にできるほど洗練された製品を手に入れられる。

2)企業は単に自社製品の販売に苦労している。もちろん、市場のリーダーであるDJIに言及しなければ、ドローンのハードウェアについての議論は始まらない。DJIは今年新たなレクリエーション商品を発表していないため、今や彼らは商業製品への注力を強めると考えられる。

ソフトウェア分野:E2E競争

我々のドローン市場レポート(Drone Market Report)に見られるように、ソフトウェアはドローン市場の中で最も急速に成長している分野だ。

今日においても、ドローンが収集する膨大な量のデータとそれを管理するために必要なツールは過小評価されている。

ソフトウェアビジネスは需要を満たしつつあり、そのバーチャルな性質によってより簡単に、すばやく拡張できるうえ、ほとんど障害なく新しい市場にアクセスできるようになった。一方、ソフトウェア事業は拡大しているだけでなく、そのポートフォリオも拡大している。今日、コンピュータビジョン(CV)と人工知能(AI)はドローンのデータ分析を合理化するため、一貫して使用されて続けている。

ドローン業界のソフトウェア革新により、タスク固有のソフトウェアソリューションがオールインワンソリューションへと進展する可能性がある。つまり、企業がドローンの運用管理システム(つまりERPシステム)を提供しようとしているため、数年以内にソフトウェアのサブセグメントがなくなることを意味する。

ソフトウェアへの投資は、最も急速に成長しているドローン市場分野に対する楽観的な見方を反映している。例えば昨年末、Seed Round Swiss社の関連会社Auterion社では1000万ドルを集めることができた。一方、Chinese Clobotics社はシリーズAラウンドで1,100万ドルを調達し、DFS社はUniflyを1,300万ドルで買い入れた。

サービス分野:多様性の強み

ドローンサービス市場は商業ドローン業界で最大のセグメントだ。企業がスポットを予約できるという新しいアプローチにより、今年は過去2、3か月以内に予約した企業が非常に多様なスナップショットを提供たため、以前よりもはるかに多くのサービス関連企業が掲載されている。

ドローンサービス市場の多様性を示すため、マップのサービス市場部分は以前よりも拡大した。数年前のハードウェア製造業界と同じように、サービス関連企業も専門化しつつある。

当初、多くのドローンサービス企業は一度に複数のアプリケーションや業種をターゲットにしようとしていたが、現在は焦点を絞り、よりニッチなソリューションを生み出している。

商用ドローン市場も拡大し続けている。現在では3つのマーケットがある。パイロット用、データ用(ビデオおよび写真)、およびハードウェア用だ。これらの仲介プラットフォームはドローン産業を左右する大きな可能性を持っている。

たとえば、一部の企業はフリーランスのパイロットネットワークに基づいてドローンサービスを提供するプロバイダとして市場を移した。もう1つのサービス分野のサブセグメントである保険分野は着実に成長している。これは主に、世界中でドローンに対する規制が増加しすべての商用ドローンに保険をかけることが義務付けられているためだ。

最後に、サービス分野のみならず全般的に言えることは、ドローン関連企業のマーケティングおよびブランドの質の大幅な向上だ。これは業界の成熟度を反映している。企業がセールスとマーケティング投資する額は増えていっており、さらにドローンの業界市場調査からわかる通り、ドローン関連企業のセールスとマーケティングの専門家雇用数もますます増えていることがすでにわかっていたため、驚くようなことではない。

ハードウェア業界と同じように、現在では大企業が市場統合プロセスの一環として、ドローンサービス業界トップの企業を取り込んでいる(例:ICR Integrity社がSky-Futures Partners社を買収)。一方、急速に成長しているドローンサービス企業も新しい市場に拡大しており、その結果、中小企業を買収している。

今現在の状況

日本のドローンメディアとしては、唯一ラインナップされているDRONE.jp。2015年以降世界各地の取材でその名を馳せている 我々の最新版ドローン市場マップは、間違いなく現在統合の段階にある成熟したドローン市場を反映している。以下の点について、今年以降も注目していきたい。

・企業は、すぐに必要なデータまたは非公開にしておきたい重要なデータをコントロール下におくため、社内でのサービス利用を続ける。

・より大規模で、しかしより少ない数の取引。 エンジェル投資は止まることはないが、減少していることはわかっている。その代わり、VCの大口取引が増加している。今年はヘルスケア企業トップのZipline社が1億9000万ドルの投資を獲得した。

・大企業は、中小企業に対して規制回避のための門戸を開き続けるだろう。市場の統合と蓄積された経験により、ドローン市場の大企業は必要な権利放棄と義務の免除を受けられ、より複雑なミッションを試験することができる。そして周囲にもその足跡を追えるよう門戸を開いている。

ドローン市場が統合を続け、主要な企業がポートフォリオを拡大するにつれ、既に分野の境界を越えてベンチャー的な活動を始めていることに気づかされる。つまり、今後こうした大企業においてはハードウェア/ソフトウェア/サービスといった業種の分類は適用できなくなる。その代わり、エンドツーエンド(E2E)のソリューションを顧客に提供する競争になっていくことが予想される。E2Eソリューションがドローン技術に関するコンセプトの究極の実証となり、ドローン関連技術についての疑念を取り除くことに繋がるだろう。これはドローン市場の未来にとって素晴らしいニュースだ。

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