「海賊」が襲撃か…多発する北朝鮮の木造船漂着

日本海沿岸で、漂流・漂着が相次いでいる北朝鮮から来たと思われる木造船。産経新聞は海上保安庁の情報として、日本海沿岸に漂着した木造船の数は2018年に225隻に達し、うち5件から12体の遺体が発見されたと報じている。

漂流・漂着木造船のほとんどは、悪天候の中で貧弱極まりない設備で漁に出たため遭難したと思われてきたが、ここに来て凶悪犯罪の被害者が含まれている可能性が浮上した。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、最近、強盗殺人を犯した6人に対する裁判が行われた。

6人は、最初から強盗目的で海に出て、陸地から遠く離れた海上で小さな漁船を襲い、漁獲物、燃料、食品を奪い、証拠隠滅のために襲った漁船の漁師を殺害したという。さらにはエンジンまで奪って、あたかも船が漂流した末に漁師が亡くなったかのように偽装した。6人には数十件の余罪があるという。これは、一種の「海賊行為」と言える。

目撃者のいない海上での完全犯罪のはずだったが、死んだはずの漁師が生きていて、自力で港に戻り通報したことから事件が発覚した。

司法当局が犯人の自宅を捜索した結果、15機のエンジンと犯行に使われた凶器が発見された。

金正恩党委員長の漁業振興策で、ノルマ達成のために無理を押して漁に出て命を落とす漁師が相次いでいるが、その一部は6人の犯罪の被害者だったことが明るみに出て、遺族や地域住民は怒りを爆発させている。

咸鏡北道の別の情報筋によると、今回の事件の顛末が明らかになったことを受け、司法当局は、過去の海難事故を対象に具体的な調査を行い、事故だったのかあるいは事件だったのかを判別するための捜査チームを発足させた。

漁師たちはさらなる真相究明と事件の再発防止を司法当局に求めている。陸地のみならず海でも凶悪犯罪が頻発していることは、北朝鮮国民が苦しい生活を強いられていることの現れだと情報筋は結論づけた。

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