高齢者、障害者らを成年後見 対馬に「権利擁護センター」 市社協が開設

テープカットで「権利擁護センターつしま」の開所を祝う対馬市社会福祉協議会の松井会長(左から2人目)ら関係者=対馬市、同協議会玄関前

 対馬市社会福祉協議会(松井旦壽会長)は1日、高齢者や障害者らの財産や法的な権利を守るため、成年後見制度を使って社協が後見人となる「権利擁護センターつしま」を同市豊玉町の同社協本所に開設した。社協が後見人となる取り組みは、長崎県内で4例目。

 成年後見制度は2000年、公的介護保険制度とともに国が創設した。認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な人に代わって、家庭裁判所に選任された親族や弁護士らが財産管理や契約行為を代行する。

 対馬は高齢化率が3割超と高い割に、成年後見制度利用率は人口比0.05%(14人)=18年8月末時点=と、16年時点の全国平均の同0.16%よりも低い水準にあった。

 そこで、弁護士らでつくる「市社会福祉協議会法人後見事業設立準備委員会」は市内の高齢者施設と障害者施設など計35事業所で利用者903人に調査を実施。このうち7人が、預金が家族に勝手に使われていることなどが疑われ「緊急で後見申し立てが必要」、129人は認知レベルが落ちてきており「いずれ後見申し立てが必要」と把握した。同委員会は18年9月、法人後見事業を設立するよう求める答申書を対馬市社協に提出していた。

 1日はテープカット後、開設記念式典があり、同委員会委員の金澤万里子弁護士が答申までの経緯を説明。「権利擁護センターつしま」センター長を務める龍井久美・同社協事務局長が、無料で相談できることや「職員が入れ替わっても、継続した支援ができる」などの長所を説明し、利用を呼び掛けた。

 同センターは月-金曜に開所する。問い合わせは同センター(電0920.58.0071)。

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