【弓術(男子)】見せられなかった”粘り”、決勝トーナメント進出も王者に惨敗 第31回全国大学弓道選抜大会

第31回全国大学弓道選抜大会 6月29・30日 @明治神宮弓道場

厳かな雰囲気の中試合が行われた

6月29・30日、明治神宮弓道場で全国大学弓道選抜大会が行われた。一昨年に準優勝、一昨々年には優勝と、慶大が得意としている大会だったが、全関東大会に続き、ここでも苦戦を強いられる。予選は14中、15位タイでなんとか決勝の舞台に駒を進めるも、決勝トーナメント初戦の相手は優勝候補・法大。勝って勢いに乗りたい慶大だったが、本来の実力を出し切ることができず。12中対17中で敗退し、慶大の選抜大会は幕を閉じた。

※一回の試合で4本矢を放つ。男子団体は5人で構成され、予選計20本のうち、的に中(あた)った本数の多い上位16チームが決勝トーナメント進出となる。

この季節にしては少し肌寒い気温に包まれた明治神宮弓道場。静謐な空気に包まれた同会場で、2週間前のリベンジを果たすべく、慶大が”絶対王者”に立ち向かった。

大会初日。翌日に行われる決勝トーナメントに進むためには、最低でも14中が必要と目されるこの予選に、慶大は主将の本郷が“今年の核”と呼ぶ5人で挑む。ここで奮闘したのは二的の金森。全関東大会では2中と振るわなかったが、2年生ながら慶大で唯一皆中してみせる。

予選で皆中してみせた金森

そんな金森の活躍もあり、慶大全体としての的中は14中。対して、15中以上の大学は14校。ここで決勝進出を確定させたいところだったがそうはいかず、競射で残りの2席を争うこととなった。

残りの2席を争うのは、慶大を含めて9校。慶大は一本目で4中し、決勝進出へ望みを繋ぐ。続く二本目。観客席まで緊張感が伝わってくるこの土壇場で、慶大は全員が的中。決勝進出を確定させた。

大前を務めた牧原

そして決勝。抽選の結果、慶大の相手はここ数年でタイトルの半分以上を獲っている絶対王者・法大となった。一昨年に準優勝、一昨々年には優勝した慶大と、優勝候補と目される法大の一戦は、多くの観客が詰めかける。しかし慶大は、その期待に応えられない。

初矢は両校とも4人が的中、大方の予想通り、互角の勝負になるかと思われた。しかし、慶大はここから「粘る」ことができなかった。最終的に皆中したのは落前の小林のみ。それ以外の4人は全員が2中しかできず、17中という高的中を叩き出した法大に遠く及ばなかった。

慶大の新戦力・前原

今大会の敗因を「出場メンバーの経験不足」と小林は語った。しかし、絶対王者の背中で弓を引いた経験は、必ず彼らの礎となるだろう。主将の本郷が「一番重要な試合の一つ」と呼ぶインカレまで残り2ヶ月。慶大の若木が“柱”になるための時間としては、十分だ。

(記事:五十右瑛士 写真:五十右瑛士、左近美月、松岡実優)

以下、選手コメント

本郷一輝(法4・慶應湘南藤沢)

──この試合を振り返って

まだまだ練習が必要なのかなと思いました。予選は通過できましたがギリギリでしたし、全関から2週間あったにもかかわらず、全然反省が生かせていなかったと思います。

──予選の14中という結果は

全関の時にあの的中が出てしまっていた以上、あまり驚きはなかったですが、あと1、2本中たっていたのではないかなと思います。

──競射にはどのような思いで臨みましたか

自分たちの出番が終わった後に結果を見ていて14中の大学がかなり多いなという印象で。競射が絶対にあるから準備しておけ、という話はしていました。1回では終わらないだろうというのもわかっていたので、2回3回とあるつもりでやっていこうと声をかけていました。

──法政とはどのような相手ですか

今1番強いチームだと思います。これまでの全タイトルのうち半分以上を法政が取っているので。

──法政との試合、どのような試合になると考えていましたか

もちろん18、19中になると思っていました。でも、どれだけ強くても結局は人間なので、去年の全関でも思ったのですが中たるときは中たるし抜くときは抜きます。勝てない試合なのかなと一瞬思っていましたが終わってみるとやはり勝てる試合でした。チャンスがあったのに逃した、という感じです。

──2週間前からどのような点を修正しましたか

やはり練習量を増やすというのが一つ、あとは中心の胴回り、根幹となる部分をしっかりと作ってあげられるように練習しました。

──チーム全体に目を向けて、調子の悪い選手など、なにが足りなかったのでしょう

練習量というのは必ずあります。あとずっとですが粘れる人がそんなに多くなかったです。粘り強くひけるような形ではなかったので、チームとしてそれが良くなかったのかなと思います。

──インカレやリーグ戦に向けて

ここからは一番重要と考えている試合しか残っていないので、そこでもう一度優勝という目標を掲げていきます。今回のような結果が出ても、挫けるのではなくもう一度立ち直って頑張っていきたいと思います。

──ありがとうございました

小林研一郎(法4・慶應義塾)

──この試合を振り返って

先々週の全関東大会が大分不調に終わって、ここでしっかりしないとな、という普段と違うプレッシャーを感じながら引くような試合でした。その反面、全員そこまでネガティブではなく、ポジティブに、決勝まで行って一番を獲ろう、という気持ちは持ちながら練習してこれたのかなと思います。ただ結果として、予選14中、競射はギリギリ通過したけど、最後12中が出てしまって、やっぱり練習では良い感じ、なのにここ一番で実力が出せない、という所にチームの根本的な問題が現れた試合だなと思いました。

──2週間前からなにか修正した点は

やっぱり個人的には、動作の中の前半部分をしっかりと組み立てて、当然、といいますか、合理的に結果が出るような射を構築する為に、練習を重ねてきました。

──昨日の予選、14中という結果については

自分自身は2本も抜いてしまって、同じ様な抜き方を繰り返してしまったので、かなり反省すべき所ではありました。今までと同じような失敗をしてしまったのは、4年という立場からしても、大分責任は感じています。

──競射になりましたが、どのような思いで臨んだのでしょう

競射は、9分の2(校が通過)という数を引く前からあらかじめ知らされてはいたので、かなり狭き門だなとは思っていました。ただ、みんながものすごく集中できていたので、通過は当然というか、その集中力あってこそ通過出来たのかなと思います。

──昨日から何か今日に向けて変えたことは

昨日は予選終了が遅くなりあまり時間がなくて、三田の道場で少しだけ調整したのですが、力が自然に流れるようにと、矢が上を向くなどせず的に向き続ける為に、動作の前半部分で特にそれらを気にしながら調整しました。

──法政に敗退、何が足りなかったのでしょう

2つあって、1個は、部員全体の経験値不足というところが大きかったのかなと思います。前3人が大きい大会は初めて、というところで、法政という絶対王者相手にすごく弱気になってしまったのかなと思います。2つ目は、練習通り出来ていないというところに尽きるかな、と。ごちゃごちゃ考えて、動作を難しくしてしまっているので、もっとシンプルにやっていく必要を感じました。

──インカレやリーグ戦に向けて

日本一という目標を掲げている以上、何があっても、そこに対してはストイックに練習を重ねていきたいという風に思っています。その為にすべきことはいろいろあると思うんですけど、量を絶対的に出す、誰にも負けない量で練習していきたいです。その姿勢が他の部員になんらかの影響与えられたら良いかなと思います。

──ありがとうございました

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