DeNA、球界初のコンディショニングセミナー開催 子供たちへの指導に必要なものとは

DeNAが主催した第1回保護者・指導者向けコンディショニングセミナーが開催された【写真:広尾晃】

DeNAは保護者、指導者向けのコンディショニングセミナーを開催

 6月29日、横浜市内で横浜DeNAベイスターズ野球振興部・スクール事業部主催で、第1回保護者・指導者向けコンディショニングセミナーが開催された。

 対象は、学童野球(小学生)の指導者、保護者。向かいの横浜スタジアムでは、DeNA-広島戦が行われていたが、会場には100人もの保護者、指導者が詰めかけた。球団が募集したところ、短時間で定員が埋まったという。

 講師は塚原賢治グループリーダー。日本体育大学、大学院を出て1990年からチームのストレングス&コンディショニングコーチや寮長を務め、今季から野球振興部・スクール事業部に加わった。以前から、小学生の野球による健康障害に心を痛めていた。

 セミナーは、「コンディショニングとはなにか?」から始まり、大人は子どもにどんなサポートをすべきか、という基本スタンスを説明。そして、野球における投球障害発生のメカニズムを紹介した。障害は、身体機能(可動性・柔軟性)+投球フォーム(ポジショニング、起動など)+投球過多によって引き起こされるという。

 今話題の「球数制限」は、少年野球でも重要だが、これに加えて身体機能を高めて、ケガをしない投球フォームで投げることで、投球障害の発生を防ぐことは可能だ。さらに肩痛、肘痛のメカニズムが、骨格の動きなどを示して説明された。どの骨のどの部分が、どんな動きによって痛くなるのかが具体的に示された。投球フォームのチェックポイントも図で示された。

肩、肘などの障害予防について具体的な図表で説明、実際にエクササイズの動きも

 その上で、障害予防に向けて、子どもたちの姿勢や胸郭の状態、骨盤の動きをチェックする事が必要なことを具体的な図表で説明。そして最終的に、肩・胸郭、体感、膝・股関節の部位に分けた予防エクササイズが紹介された。スタッフが実際にその動きをやってみせた。

 このエクササイズはベイスターズの選手も日常的に行っているものだ。塚原氏は「朝に30分エクササイズをやっても、翌日には体はすぐに固くなってしまう。エクササイズは、1日のうちで暇を見つけて5分でも10分でもこまめにやることで、障害を予防できる」と話す。

 NPBの球団が、コンディショニングセミナーを行うのは初めてだ。塚原氏は「木塚投手(敦志、現コーチ)は、肩の可動域がものすごく大きかった」、「筒香選手は、あんな(ガッチリした)体をしているが、ブリッジから体を横に一回転させることができる」など、ベイスターズの選手の名前を出して、説明をした。指導者、保護者の中にはベイスターズのキャップやシャツを着た人も多かったが、いっそう話に惹きつけられただろう。

 質疑応答も活発だった。やはりこうした活動でも、NPBの影響力は非常に大きい。DeNAは横浜市、川崎市でベースボール・アカデミーを運営している。また横浜市内の幼稚園、保育所、小学校を回って「野球あそび」の普及活動を行っている。これに大人が、「子どもを野球障害から守る」取り組みが加われば、「野球離れ」に対する取り組みはさらに強化されることだろう。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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