著作権侵害で訴えられた『リッチ・エナジー』社、ハースF1との契約詳細や財政状況を強制的に公開へ

 ハースF1チームのタイトルスポンサーである『リッチ・エナジー』社が、イギリスで複数の裁判所命令を受けた。そのなかには、リッチ・エナジー社の財政状況やチームとの契約内容の開示を強制するものもある。

 イギリスの自転車メーカー『ホワイト・バイクス』社は、リッチ・エナジー社のロゴが同社のエンブレムに酷似しているとして、リッチ・エナジー社を著作権法違反で訴えていた。第7戦カナダGP以降、ハースのマシンからこのブランドロゴは削除されている。

VF-19に掲載されていたリッチ・エナジー社のロゴ

 知的財産企業裁判所はリッチ・エナジー社のロゴを無効と裁定し、当該ロゴのイギリス国内での使用を7月19日(金)以降禁止するとした。

 だが『FormulaSpy.com』のトーマス・メイハーによる取材と併せて先週木曜日の裁定を読み、リッチ・エナジー社に課せられた法的責任の全体像を把握してみると、その一部からは別の興味深い情報との関連もうかがえる。

 まず、リッチ・エナジー社が提出した上訴の許可申請については棄却された。ただし、同社が控訴院に対して直接上訴の許可を申し入れることは可能であり、これは7月18日(木)までに行われなければならない。

 リッチ・エナジー社は、裁定から14日以内に、ホワイト・バイクス社に35,416ポンド(約480万円)の費用を支払うよう命じられている。また著作権侵害によって生じた損害の程度については、両者の間で合意されるか、後日裁判所によって査定されなければならない。

 これだけにとどまらず、リッチ・エナジー社は2019年8月1日(木)までにホワイト・バイクス社に対して、著作権を侵害している全商品を提出するか、またはそれらを廃棄する、著作権を侵害しない状態に改変する、のいずれかを選択しなければならない。

 さらにリッチ・エナジー社は、同社ロゴを付けた缶製品のイギリス国内およびグローバルでの売上総本数と総額を、ホワイト・バイクス社に開示しなくてはならない。

 数字が開示されれば、リッチ・エナジー社の売上は急増しているというウィリアム・ストーリーCEOの発言が裏付けられるか、あるいはそれが忘却の彼方に吹き飛ぶかがはっきりするだろう。

 そして最後に、ホワイト・バイクス社が著作権侵害によって被った損害を査定できるよう、リッチ・エナジー社は以下の情報を提供するように求められた。

■リッチ・エナジー社のハースF1チームへの協賛内容に準じて、あるいはこれに関連して、第三者機関から同社ストーリーCEOが管理する別の法人に対して行われた投資の総額

■リッチ・エナジー社のハースF1チームへの協賛内容に準じて、ハースF1チームに対して支払われた、あるいは支払われる予定の費用総額に関する詳細情報。なお、個々の支払いについては、それがリッチ・エナジー社からのものか、別法人からのものかを明示すること

 要するにホワイト・バイクス社は、ハースF1への協賛活動においてリッチ・エナジー社がいくら支出したのか、そして誰がチームに支払ったのかを知ることになるのだ。

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