ヘイト規制条例「すぐ制定する考えはない」 横浜市長

横浜市の林文子市長(資料写真)

 ヘイトスピーチを規制する条例について、横浜市の林文子市長は3日の定例会見で、すぐに制定する考えはないとの見解を示した。また市民で賛否が分かれる、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致についても住民投票をする考えはないと明言した。

 ヘイトスピーチを規制する条例を巡っては、県内3政令市のうち、川崎市が6月に全国で初めて刑事罰を盛り込んだ差別根絶条例の素案を公表。また相模原市も条例制定を目指しており、罰則規定の導入も検討している。

 横浜市は、ヘイトスピーチ解消法で定められた差別的表現が行われる恐れがあり、混乱が生じる可能性が高いと判断される場合、施設の使用を不許可にしたり、使用許可を取り消したりできるよう、公会堂と地区センターの事務取扱要領を改正するにとどまっている。

 林市長は会見で、川崎市の素案について「踏み込んだ内容。ヘイトスピーチの解消には実効性の高い対策を行うのが必要で、川崎市の対応も有効な一つ」と評価。ただ横浜市としては「一つ一つの事案に適切に対応する」とし、「(条例を)今すぐつくるところにはいっていない」と制定に後ろ向きな姿勢を示した。

 一方、IRでは、6月下旬に市が開いた市民向けの説明会で、誘致に反対する意見が続出した。

 市長は変わらず「白紙」を強調。「住民投票をする考えはない。最終的には私が判断しなければならない」と述べ、IR誘致は行政判断との認識を示した。

 地元の港湾事業者でつくる「横浜港ハーバーリゾート協会」が示す「カジノなし」での山下ふ頭(同市中区)再開発案については、市が検討しているのはあくまでも日本政府が示すIRと説明した上で「カジノ抜きで全体の運営をするのは(採算の面から)難しい。カジノのない一体型施設を検討する考えはない」と一蹴した。

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