社説(7/4):参院選きょう公示/責任ある将来像を競い合え

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 安倍晋三首相の6年半にわたる政権運営の是非を問う重要な選挙である。第25回参院選がきょう公示される。経済、被災地復興、社会保障、憲法、安全保障など、国の根幹にかかわる政策課題を巡り、各政党と候補者の突っ込んだ論戦を望みたい。

 大きな争点の一つは、デフレ脱却を目指した経済政策への評価だ。金融緩和を重く見るアベノミクスによって、確かに企業利益は過去最高水準となり、昨年度の国の税収はバブル期を上回った。

 企業の内部留保は6年連続で過去最高を更新したが、しかし、人件費に回した比率である労働分配率は低い。企業の人件費抑制の姿勢は根強く個人消費は伸び悩む。ほとんどの人にとって、景気回復の実感は希薄だ。

 一方、直近の企業の景況感は、日銀の企業短期経済観測調査(短観)によると、2四半期連続で悪化した。米中の貿易摩擦が響き、日本経済は予断を許さない状況に急速に変化しつつある。東北に限ると、4期連続の悪化という状態に陥っている。

 こうした景気動向の中で10月に予定される消費税増税は果たして妥当なのか。与党は予定通りの実施を主張し、対する野党は凍結や中止を求めている。ポイント還元などの増税対策を含め、有権者の冷静な判断が問われる。

 人口減と少子高齢化が進む被災地の復興は、参院選で問い直すべき課題だ。司令塔の復興庁は来年度で廃止されるが、後継組織に関して、政府はまだ具体像を明示していない。与野党とも踏み込んだ案を提示しなければ、被災地軽視と受け取られよう。

 異論を排する安倍政権の政治姿勢もまた大きな争点の一つだ。おごりや緩みが政権には顕著となってきた。政権への忖度(そんたく)や行政の不手際、相次ぐ失言と不祥事。国民目線を忘れた政府手法は、問われてしかるべきテーマだ。

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の候補地に関する防衛省のミスは適地とされた秋田県で住民の大きな怒りを呼んでいる。背景にあるのは、ここでも官邸の意向に対する防衛官僚の忖度ではなかったか。

 ただ、内閣支持率は依然として高い水準を維持し、野党の支持率は低い。野党は「安倍1強」を批判するが、政権を支える応援団は、多弱の野党である。与党に代わる説得力ある政策提案が野党には何より求められる。

 金融庁の報告書で争点に急浮上した年金不安、安倍首相が「国民に問いたい」と強調する憲法改正、進展がない北方領土返還交渉、北朝鮮の核廃棄と拉致。多くの難題について各党は実現可能な政策を競い合ってほしい。

 今回の参院選は元号が令和に代わって初の国政選挙だ。有権者は各党が訴える日本の針路や将来像に耳を傾け、誤りのない1票を投じたい。