「島原の宝」

 優れた地域産品を全国から発掘、改良して販路拡大を支援する食のコンテスト「にっぽんの宝物」。昨年の全国大会で、南島原市の造り酒屋、吉田屋の4代目で杜氏(とうじ)の吉田嘉明さん(57)の甘酒が総合2位に輝いた▲シンガポールで8月にあった世界大会でも、さらりと優しい飲み口の甘酒は好評。ホタテ料理のソースの素材に使ったシェフと共に最優秀を受賞し、海外展開の可能性も示した▲島原半島はジャガイモやトマト、タマネギなどの農産物や農産加工品の宝庫だ。品質は申し分ないし、市場での評価も高い。さらに磨いて商品力を高めようと「にっぽんの宝物」の地方大会に当たる「島原半島の宝物グランプリ」が始まったのは2年前▲今年は6月22日、吉田屋を会場に開き、17事業者で競った。畜産業者と黒糖生産販売者がコラボレーションしたすき焼きなど、事前説明会に参加した35事業者のうち複数が、持ち味の相乗効果を狙い共同で出品。“お見合い”の場にもなっているのも特徴だ▲6日の全国大会には、2部門に計4組が進む。島原半島の宝を輝かせ、今回も世界大会へつなげてほしい▲ただ、せっかくの宝探し、島原半島限定ではもったいない。熊本などでは、既に県全域に広がっている。本県でもまだまだ、未開拓の素材があるはずだ。(俊)

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