甲状腺被ばくに備え、研修会 ヨウ素剤調製、薬剤師が学ぶ

原子力災害に備え、安定ヨウ素剤の内服液を調製する薬剤師 =横須賀市保健所

 薬剤師が原子力災害発生時に甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の調製方法を学ぶ研修会が3日、横須賀市西逸見町の市保健所で開かれた。市立病院や市薬剤師会に所属する薬剤師が、粉末状のヨウ素剤を子ども向けに調製する実習に取り組んだ。

 3年の保存期限を過ぎた就学前の幼児用の粉末を活用。参加者は注射用水やシロップに溶き、5リットルのポリタンクに詰める作業を行った。

 市職員が原子力災害を防ぐための取り組みや、ヨウ素剤を市民に配布するまでの流れも説明。参加者からは「ヨウ素剤の必要性を市民にどう周知するのか」などの質問が上がった。

 薬局を経営する岩井俊秀さん(45)は「大量の薬剤を一度に調製する機会はめったにない。市から要請があれば、すぐ協力できるようにしたい」と話した。

 市内には原子力空母などが配備されている米海軍横須賀基地や原発用燃料メーカーがあり、市は人口数を上回る75万5千錠のヨウ素剤を備蓄。また乳児用のゼリー剤、就学前の幼児用の粉末をそれぞれ用意している。粉末は内服液に調製してから配布する。

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