復興ってなんだ⑤仮設住宅2年の壁

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今週のけいナビは、シリーズでお伝えしている「復興ってなんだ」の5回目。

最大震度7を観測した胆振東部地震から10カ月。今回は日々生活する上で最も重要といっても過言ではない、「住まい」に注目した。

液状化被害のあった札幌市清田区の里塚地区で、自宅が大規模損壊と判定された中川抄子さん。自宅は終の棲家として夫と二人、この先30年ほど住むことができるよう約800万円のローンを組んでリフォーム。わずか2年しかたたないうちに、あの大きな揺れに見舞われた。未だ住める状態にはない。

ことし6月から、ようやく札幌市による土壌改良工事が始まった。被害が集中した里塚地区の道路と宅地、公園が対象で、来年の3月までに終わる見込みだ。中川さんは「復旧が進めば里塚地区に戻って来られるのでは」と期待を寄せる。

工事が終わり次第、自宅の修復にとりかかる予定。リフォームのローンも抱えているため、費用は補助金を頼りながらも、夫婦で働いて捻出せざるを得ないのが現実。一方で、住宅の再建を断念して住み慣れた場所を離れていく住民も少なくない。
札幌市によると、これまでに里塚を離れた世帯数は60世帯ほどになるという。
中川さんは「地震直後は心配ばかりだったが、心配していても仕方ない。戻って来られる日まで頑張って働こうと思う」と話す。

厚真町、安平町、むかわ町などの被災地では、今も741人が仮設住宅で暮らしている。ただこの仮設に暮らすことができる期限は、2年間。残る1年あまりで、住まいの問題とどう向き合えばいいのか、被災者は頭を悩ませている。

安平町の仮設住宅で暮らす金子健治さん、82歳。日課は愛犬のポッキーとの散歩。一緒に暮らして16年。身寄りのない金子さんにとって家族同然の存在。

仮設住宅での暮らしには何の不満や不自由もないという金子さん。しかし、入居期限が残り1年2カ月となった今、ポッキーとの平穏な暮らしをこの先も維持できるかどうか心配がつきない。仮設住宅の入居者のうち、ペットを飼う世帯は61世帯。金子さんは住んでいた借家が全壊となり、新たな住まいを探す必要に迫られている。しかし、月9万円の年金生活では、一般的に割高となるペット同伴の物件を借りるのは容易ではない。
アレルギーなどの問題で公営住宅は原則としてペット不可だが、市や町はペット可の公営住宅を用意できるよう、検討を始めている。

「仮設2年の壁」に悩む人は他にも。安平町で畑作農家を営む、川崎真一さん58歳。去年の地震では、自宅と畑が大きな地割れの被害にあった。収穫期に入ったばかりに起きた地震。ビニールハウスの中では、実ったトマトがほとんど落ち、去年の収入はほぼゼロに...。

地割れは家の真ん中を通り、とても住めない状況。現在はみなし仮設となるトレーラーハウスで、妻の尚子さんと母親の3人で暮らしている。
川崎さんは「2年はあっという間にたってしまう。ここに住居を建てたいと考えているが、まだ思案中」と話す。

川崎さんの自宅は全壊の判定で、公費解体を申請中。自宅を再建するつもりだが、58歳という年齢と後継者がいないことで、住宅のローンを組むことに不安を抱え、二の足を踏んでいる。妻の尚子さんは「一番の心配は住まい。みんなが資金のめどがついているわけではないし、仮設住宅に住む人も含め、みんな迷っていると思う」と話す。

高齢者の住まいの問題を、金融面から解決できるかもしれない支援策について取材した。
「独立行政法人 住宅金融支援機構」(旧:住宅金融公庫)が行う被災者向けの金融支援。リバースモーゲージという、住宅ローンを抱える高齢者が、生前は利息だけを支払い、元本の返済を免除される融資制度だ。

復興へ立ちはだかる「仮設住宅2年の壁」。住民や自治体は悩みながらも歩みを進めている。

(2019年7月6日 11:00放送「けいナビ」より)