破産のマザウェイズ、閉店セール全品60%オフで「お会計は3時間待ち」

売上は「通常時の3倍に届きそうな勢い」

 6月30日に大阪地裁に破産を申請し7月1日、保全管理命令を受けた子供服販売のマザウェイズ・ジャパン(株)(TSR企業コード:570991358、江東区、登記上:大阪市、以下マザウェイズ)。保全管理命令後は、全品60%オフの「閉店セール」を開催している。一部大型店では「お会計は3時間待ち」の看板が用意されるなど異例のにぎわいを見せている。
 マザウェイズの「在庫一掃」に東京商工リサーチ(TSR)が迫った。

 保全管理命令を受けた翌2日、各店舗の店頭やホームページで一斉に「60%オフセール」の告知を始めた。マザウェイズの社員には、破産申請の30日に会社が倒産すると告知された。マザウェイズの社員によると、「当初、本社からセールではクレジットカードは使えないとの説明があったが、その後、その日の夜までに使用できると説明が変更された」という。現場では混乱が生じていたようだ。
 今回の破産について、マザウェイズの社員は「給与の未払いもなかったので、びっくりした」としながらも、「今年に入ってから、人件費の削減と商品の配送体制の見直しが会社側から通達されていた。今思えばこれが(倒産の)予兆だったかもしれない」と振り返る。ネット上では、破産申請後に店舗で働くスタッフに対して「タダ働き」との同情の声が広がっている。これに対しては、「会社側からは、7月15日まで給料が出ると言われている。“タダ働き”書き込みには驚いた」と苦笑いする。

 TSRが4日午後、閉店セール中の店舗を訪れたところ、大多数の商品が売り切れており、夏物のカットソーや浴衣などの棚はガラガラだった。店舗の担当者は、「在庫は残り1割ぐらいのところまできました」と説明する。この店舗は4日で営業を終了するという。担当者は、「セールや閉店の情報が広がった7月3日が最も混雑していました。入店できずに帰るお客様も多くいらっしゃるほどでした」と申し訳なさそうに語る。
 破産申請後は、配送の問題もあるため商品の補充はできず、バックオフィスにある商品を含めた「在庫の売り切り」だ。それでも売上は「通常時の3倍に届きそうな勢い」(店舗担当者)だという。店舗閉鎖後、残った商品は「本社から社員が来て管理すると聞いている」という。

恐るべし“ママ友”“SNS”の力

 マザウェイズがセールの告知をした2日以降、各店舗は混雑を極め、試着や目当ての商品の確保に急ぐ客などでごった返した。ただ、セールに訪れたのは、旧来からのマザウェイズファンだけとは限らないようだ。
 4日午後に子連れで店舗を訪れた女性は、「ママ友からセールやっているよ、と聞いて初めて訪れた。もっと前に来たかったんですけどね」と話す。別の女性も「SNSでセールを知った。来るのは2回目。安くてありがたい」と答えた。安くなったこの機会にと初めて買い物する客も相当数いる。
 こうしたなか、フリマアプリ「メルカリ」にも新品、未使用で出品されているマザウェイズ商品が多く見受けられる。一方、都内の店舗に勤務する社員は、「閉店を惜しむ声は多く頂いています。この店は長い間営業しており、何年も通ってくださったお客様も多かったので」と語る。

「ブランドの譲渡予定は現時点でない」

 マザウェイズの代理人事務所の担当者は、ブランドの存続や今後の譲渡の可能性について、「現時点で予定はない」と説明する。都内では、4日時点ですでに半数以上の店舗が閉店している。今後の営業予定に関しては「閉店は各店舗によって異なるため、営業終了の時期は未定」(代理人事務所の担当者)という。

店頭に掛けられた看板

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