談論風発

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 「風任せ」と言うように、風は「成り行き」を表し、「先輩風を吹かせる」と言うように「おごったそぶり」を意味することもある。世論の風を当てにする「風頼み」という言葉は、時に選挙で用いられる▲ひと頃は、国政選挙のたびに風がびゅうと鳴ったのを思い出す。2007年の参院選で第1次安倍晋三内閣は年金記録問題などにさらされ、向かい風に屈した▲民主党が政権を奪ったものの、手並みはおぼつかない。10年の参院選で逆風を受け、大敗した。自民が政権を奪い返すと、13年の参院選ではアベノミクスへの期待を順風にして、圧勝している▲政権を突く風にもなれば、追い風にもなる。世論の風は政治の風景を大きく変えてきたが、ここ数年はそうではない。与党は国政選挙で「風なき勝利」を収め続ける▲第2次安倍内閣の発足から6年半、政権運営に審判を下す参院選が公示された。与野党どちらにも追い風はなく、向かい風というほどの風もないが、「改憲勢力」は保たれるのか、暮らしの安心の行方は、増税の是非は、と目を凝らす点はいろいろある▲先輩風ならぬ「与党風」を吹かせている、と野党は言いたいところだろう。政治に安定を、と与党は力を込める。風が吹き起こるように盛んに議論する「談論風発」ならば、いくらあってもいい。(徹)