危険予測 意識持ち運転を 交通安全教育用機材体験 

「Honda動画KYT」を体験し、危険予測について学んだ=県警本部

 東京・池袋で乗用車が暴走して母子が死亡したり、大津市では保育園児らが死傷したりするなど、悲惨な事故が相次ぎ、運転する側の交通安全の徹底が改めて求められている。一体、どういった状況が危険なのか。県警が導入した教育機材の体験を通じ、安全運転について考えてみた。

 6月24日、県警本部で報道機関向けの交通安全教育用機材の体験会があった。目玉は「Honda動画KYT(危険予知トレーニング)」。利用者は、動画で再現される計126パターンの交通状況を見ながら危険を予測し、安全運転を学ぶ。県警が3月に導入。最大20人が同時に利用できる。

 「今から、自分が車を運転している想定で、シミュレーション映像が流れます。実際に事故は起きませんが、“危ない”と感じた場面でその都度、回避行動を取ったことを示す手元のボタンを押してください」

 交通企画課員の説明後、「問題編」が始まった。片側一車線の道路を走行中、前方に路上駐車している車を確認。右側に避けようとしたところ、反対車線の対向車が急接近してきた。「ぶつかる」-。記者はとっさにボタンを押した。

 問題編を終えると、次は「事故編」。同じ状況の映像だが今度は事故が起き、担当者が解説する。日ごろの運転中、どこに危険が潜んでいるのか。担当者はこう、強調した。「車間距離が十分にあれば防げる事故もある。“対向車がいるかもしれない”、“飛び出してくる人がいるかもしれない”など、常にドライバーが危険予測の意識を持って運転することが大事」

 約30分間のシミュレーション体験が終わった。何回ボタンを押したのか担当者に尋ねると、参加5人中で最多。「回数が多い人ほど用心深い。日ごろから慎重な運転を心掛けている証拠です」

 実は、5月に速度違反で警察のご厄介になったばかり。「慎重な運転」という評価は、反則金という痛みが、反省材料につながった結果だろう。ハンドルを握る責任を痛感した。

 ■高齢者対象に講習/15日、浦上自動車学校

 長崎県と長崎県警は15日、浦上自動車学校(長崎市赤迫3丁目)で市内の高齢運転者を対象に安全運転講習をする。初めてKYTも使用予定。県警交通企画課は「自分の運転を見つめ直してほしい。免許返納に悩んでいる人には良いきっかけにしてもらいたい」としている。

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