松田に「コキアの里」作りたい 新名所で観光客呼び込みを

コキアの植栽に夢を膨らませる飯田さん=松田町松田惣領

 松田町の新たな名所にしようと、町内で飲食店を経営する飯田勝宏さん(74)がコキアの植栽に取り組んでいる。成長すると樹形が丸くなり、秋には真っ赤に色づくのが特徴で、飯田さんは「将来的には足柄上郡全体に広げ、観光に生かしたい」と話している。

 コキアは和名で「ホウキグサ」と呼ばれる一年草。成長すると直径70センチぐらいの球状の樹形になる。実は「畑のキャビア」といわれるとんぶりに加工され、枯れた茎葉はほうきとして活用される。

 松田は松田山の河津桜、寄(やどりき)のロウバイが有名だが、ともに早春の花のため、飯田さんは夏以降に観光客を呼べる植物はないかと4、5年前から考えていた。各地を回って探していたが、2年ほど前に河口湖(山梨県)近くの農家が栽培していた真っ赤なコキアに、「感動してこれに決めた」と飯田さん。

 丘一面のコキアで有名な国営ひたち海浜公園(茨城県)に通って栽培方法などを相談した。今年4月からポットに種をまき、5千株の苗木を育てた。西平畑公園(松田町松田惣領)内の町自然館から徒歩5分の場所にある元ミカン畑の遊休農地約17アールを借り、これまでに約2千株を植栽。同時に町内にも広まるように、町民や町観光施設にも苗木を分けた。

 シカよけの竹の柵に囲まれた「コキアの里」は山の中腹にあるため、足柄平野を一望でき、晴れた日には富士山も望める。飯田さんはベンチやいすも用意する予定で、「景色を眺め、じかにコキアに触れてほしい」と期待する。

 初年となる今年、夏に青い葉を茂らせ、秋には真っ赤になると予想しているが、「うまくいくかドキドキしている。試行錯誤しながら整備していきたい」と飯田さん。近くにも約20アールの遊休農地があり、コキア栽培に追われながらも次の一手を考えている。

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