社説:記録的大雨 念には念入れて対応を

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 崩れた土砂が、民家に迫っている。川があふれ、道や田畑との境が分からない。あまりにも危険な映像ばかりが届けられる。

 記録的な大雨となった。

 先月28日の降り始めから、宮崎県えびの市で1000ミリを超えるなど、九州南部を中心に、各地で過去にあまり例のない総雨量となっている。

 1日の雨量が、観測史上最大となったところもある。

 岡山、広島、愛媛など15府県で、関連死を含め230人以上の犠牲者を出した西日本豪雨から、あすで丸1年となる。

 あのような惨事を繰り返さないことを、第一に願う。

 気象庁によると、日本列島の南岸に梅雨前線が停滞し、これに暖かく湿った空気が流れ込み、大量の雨を降らせている。

 地球温暖化によって気温が上昇すると、大気の蓄える水蒸気が増える。いわゆる「線状降水帯」が発生して居座れば、大雨につながるとされている。

 加えて、火山灰に覆われた九州は地質が弱く、土砂崩れの恐れもある。

 引き続き、厳重な警戒を続けてほしい。

 総務省消防庁のまとめでは、死傷者が出ている。人的被害を最小限にとどめることが、何より求められる。

 昨年の西日本豪雨で、災害の危険性が住民らにうまく伝わらなかったのを教訓に、気象庁は、切迫の度合いに応じて5段階に区分した警戒レベルを設けた。5月末から運用を始めている。

 最も警戒を要するレベル5では、50年に1度の雨量が予想される際に出す大雨特別警報を用意している。

 今回は、「特別警報を出す可能性がある」として、レベル5に達していないが、緊急の記者会見を開いた。「自分の命は自分で守るという意識を持ってほしい」と、これまでにない表現をして避難を促している。

 これを受けて、特に雨量の多い鹿児島、宮崎両県で避難指示の対象者は一時110万人を超え、避難勧告も続出した。

 差し迫った状況を考慮して、早め早めに情報発信をした結果であり、適切といえよう。

 前線の停滞は、まだ続く。これまでの降雨によって地盤が緩み、土砂災害の危険が、さらに高まっている。雨がやんだからといって、気を緩めるべきではない。念には念を入れて対応したい。