イノシシが小山で急増、人的被害など警戒

年100頭捕獲、市街地にも出没 

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飯塚で4月に捕獲されたイノシシ(小山市提供)

 2018年度に小山市内で捕獲されたイノシシは100頭となり、初めて三桁の大台に乗ったことが、市農政課のまとめで分かった。19年度に入ってからも4~6月の3カ月間で23頭が既に捕獲され、前年同期の9頭を大幅に超え、生息頭数の急増ぶりがうかがえる。農作物への被害や人的被害の恐れもあるため、市は警戒を強めている。

 市によると、18年10月~19年3月、県と市が思川河川敷に13基の箱わな、くくりわなを設置し、市が71頭、県が29頭のイノシシを捕獲し合計100頭となった。昨年度の農作物への被害額はサツマイモやトウモロコシなど推計58万8千円。これまでのところ自家消費用がほとんどで、捕獲圧力を高めて被害の拡大を水際で食い止めている。

 イノシシは年に1回出産し4、5頭の子を産む。かつては市内では生息していなかったが、生息域の県西部から河川敷伝いに移動してきたとみられる。15年度に市内で2頭が初めて捕獲され、16年度に14頭、17年度に46頭捕獲とねずみ算式に増えた。現在は市北西部の思川周辺に100頭前後が生息しているとみられ、農地や集落、ゴルフ場などで出没が確認されている。

 このため市は昨年7月に全庁横断組織の「イノシシ被害対策本部」を設置。今年3月には市猟友会やJA小山などと「市鳥獣被害連絡協議会」を設置し対策を講じてきた。今夏から乗用草刈り機を購入して農地周辺を除草し、イノシシの生息しにくい環境作りに努めることにしている。

 一方、今年3月には市南部の間々田地区市街地で初めてイノシシが目撃された。これは渡良瀬遊水地のヨシ焼きから逃れたイノシシが思川河川敷を北上したと考えられている。遊水地内には100頭を超える別グループのイノシシが生息しているとされる。今のところは主に堤防内にとどまりクズやヨシの根、クワの実などを食べているようだ。

 最悪の事態は、遊水地のイノシシが堤防を越えて思川河川敷のグループと交雑が進むこと。遺伝的な多様性を獲得し、繁殖力が高まるとみられる。市農政課の松沼健(まつぬまたけし)課長は「仮にそうなると、爆発的に数が増える可能性がある。そうなる前に食い止める必要がある」と危機感を募らせている。