骨髄バンク

 白血病を発症した競泳女子の池江璃花子選手が19歳の誕生日を迎えて公式ホームページとツイッターを更新した。友人が開いてくれたパーティーの写真と共に、新たな1年の抱負を投稿した▲抗がん剤の影響で髪が抜けたりするなど、つらい闘病生活であるに違いない。それでも彼女が前向きな言葉をつづれるのは、家族ら周囲の支えと共に、復帰を心待ちにするファンの存在も大きいのではないか▲2月の発病公表で、治療法である骨髄移植への世間の関心が高まったのだろう。日本骨髄バンクへのドナー登録が急増し、2月だけで1万1千人を超えた▲通常は月2千~3千人というから、反響の大きさが分かる。その後も3月は7千人超、4月は5千人超と高水準で推移している▲芸能人ら著名人の発病が報道されると、ドナー登録が増える傾向があるという。直接の知人でなくても、その苦境を思い、応援できないかと動く。移植医療の基盤である、命をつなぐ支え合いの精神の広がりを感じる▲ただ、骨髄提供の際にドナーは数日間入院する必要があり、そこで協力を断念する人も少なくない。全国には大村市や佐世保市のようにドナーへの助成制度を導入する自治体や、特別休暇制度を設ける企業・団体もある。善意を後押しする仕組みの広がりも期待したい。(久)

© 株式会社長崎新聞社