改憲、有権者に賛否 十分な情報と説明必要【大分県】

2019参院選 ズーム争点(2)

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三男が勤める海上自衛隊関連の雑誌を集めている主婦。憲法改正には複雑な気持ちがあるという=杵築市

 参院選の主要テーマ六つを掘り下げる「ズーム争点」の第2回は憲法を取り上げる。改正論議の中、平和主義を規定する9条に自民党は自衛隊明記を主張し、野党からは反対論が上がる。県内の有権者にも賛否両論がある。大分選挙区の候補者、有権者アンケートと現場取材で迫る。

 「自衛隊の役割が今後どうなっていくのか。不安はあります」

 三男が海上自衛隊に勤務する杵築市内の主婦(58)は、国政での憲法改正論議を注視している。参院選で気になるのは9条への「自衛隊明記」。自民党が訴え、野党からは反発が強い。

〇息子を思うと複雑

 護衛艦に乗る息子は、これまでインド洋での給油活動に携わるなど、たびたび海外に派遣された。「帰ってきたよ」と連絡があると、毎回ほっとする。

 2014年、政府は安全保障政策を大きく転換した。長い間認められないとしてきた集団的自衛権の行使を限定的に容認。自衛隊の活動範囲が拡大された。憲法の解釈変更は反発も招いた。

 もし自衛隊が9条に明記された場合、「より危険な地域でも派遣しやすくなるのではないか」。一方で、自衛隊の存在が憲法で認められることで「現場の隊員が活動しやすくなるのかも」。誇りを持って仕事をしている息子を思うと、複雑な気持ちになる。

〇国際情勢に危機感

 「日本を取り巻く状況が変わってきている」。国東市国東町の無職山下博也さん(81)は感じている。動きの読めない北朝鮮、緊張が高まる米国とイランの関係など、昨今の国際情勢に危機感を抱く。

 叔父は第2次世界大戦で戦死した。平和の尊さ、それを守ってきた9条の重要性はよく分かる。

 それでも、今の平和を維持していくため「せめて自国を守る力と権利は憲法で認められるべきではないか」と、環境変化に合わせた見直しの必要性を指摘する。「国民全体で真剣に議論するときが来ている」

〇施行以来変わらず

 憲法は1947年の施行以来、一字も変わったことがない。9条だけでなく、改正されると暮らしはどうなるのか。

 国民の権利・自由を守る最高法規の在り方を巡る議論は難しさもあり、イメージが湧かない有権者は少なくない。大分市片島の女性NPO法人職員(33)は「無責任に改憲すべきだとは言えない」と言う。

 重要な課題だからこそ、十分な情報提供と分かりやすい説明が求められる。