<新潟・山形地震>津波、わずか5分後に到達 素早い避難徹底を

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住民全員が高台に避難した山形県鶴岡市小岩川地区の避難路

 マグニチュード(M)6.7を記録した6月18日の新潟・山形地震で、津波の第1波が沿岸に到達したのはわずか5分後だった。幸い被害はなかったものの、震源の位置によっては極めて短時間で襲来する津波の脅威が改めて浮き彫りになった。専門家は「危険性を認識し、素早い避難を徹底してほしい」と訴える。

 地震は午後10時22分に発生。気象庁は山形、新潟両県と石川県の一部に津波注意報を出した。最も早く津波が襲来した鶴岡市鼠ケ関では地震から5分後の午後10時27分に第1波、12分後の午後10時34分に11センチの最大波を観測した。

 注意報は海中や海岸にいる人の被害を想定して出されるが、鶴岡市は3705世帯9429人に避難指示を出した。早坂進危機管理監は「高さ1メートルの津波が予想され、震源も陸に近かったため、避難勧告ではなく指示にした」と説明する。

 小岩川地区では住民約400人全員が高台に逃げた。地域では揺れが収まった直後に避難を始める約束にしていたといい、自治会長の本間新一さん(68)は「東日本大震災以降の避難意識の高まりも生きた」と語る。市全体で2000人以上が避難した。

 酒田市と遊佐町も防災行政無線で住民に避難を呼び掛けたが、各地で課題も浮かび上がった。

 夜間に加え、一部地域では停電も発生した。暗闇の中、慌てて懐中電灯を持ち出せなかった人が多かった。酒田市では避難する車による渋滞が起き、危機管理課は「徒歩避難の原則を改めて周知したい」と改善点を挙げる。

 地震の震源は、日本海の新潟県沖から北海道沖にかけて南北に延びる「ひずみ集中帯」。M7級の地震を起こす海底断層が陸に沿って密集する。個々の断層の活動間隔は長いが、全体で見ると発生頻度は低いとは言えない。

 日本海に限らず、震源が陸に近い場合、津波到達までの時間は短くなる。ひずみ集中帯では1983年の日本海中部地震(M7.7)が地震発生の7分後、93年の北海道南西沖地震(M7.8)が2~3分後に押し寄せ、甚大な被害を出した。

 東北大の今村文彦教授(津波工学)は「日本海の地震は断層の角度が大きくなり、津波が高くなるケースもあるので注意が必要だ」と指摘する。

 その上で「猶予時間が短いため、強い揺れの後は避難指示などを待たずに逃げることが大事。地域の津波浸水想定や津波到達までの時間、避難場所を改めて確認してほしい」と強調する。