2022年のハイブリッド導入目指すイギリス・ツーリングカー、入札には11社が名乗り

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権を運営するTOCAは、2022年から予定するハイブリッド技術導入に向けた供給サプライヤー入札に関して、すでに11社から応募があったことを明かすとともに、BTCC運営団体としての権利を5年間延長する契約を、モータースポーツUKと結んだことを発表した。

 2011年シーズンから完全導入されたNGTC(Next Generation Touring Car)のエンジン規定は、2リッターの4気筒直噴ターボを基本とし、最高出力を300馬力程度に設定。各マニュファクチャラーが持つエンジンブロックからチューナーが独自にエンジンを仕立てる方法と、オーガナイザーのTOCAが用意するスウィンドン・エンジニアリング製の共通エンジンから選択することが可能となっている。

 前後サブフレームやサスペンション、ブレーキなどを共通コンポーネントとし、現在はFIAのツーリングカー区分でTCN-1にも指定されているこのNGTC規定車両に、TOCAはハイブリッドシステムを追加することを決定。

 昨シーズンのスネッタートン・ラウンドより開始されたテクニカル・ワーキング・グループの議論により、プッシュ・トゥ・パスを含めたハイブリッド技術のシステム供給入札を、この4月から開始していた。

 すでに入札開始以前より、複数のサプライヤーから応募への興味を示す問い合わせを受け取っていたというTOCAは、現時点で11社から応募があったことを明らかにした。また、すでにサマーブレイクに突入したBTCCシーズンで7月16~17日に予定されるスネッタートンでのタイヤテスト前には、供給契約の発表を行いたいとの意向を示している。

 これにより、TOCAが指定した技術仕様に即したシステムの供給が行われ、2021年シーズンには部分運用で仕様確認とテストが続けられ、2022年にはハイブリッドを完全導入する予定。

 しかしTOCAは「仕様の安定性と供給に支障がなければ」前倒しでの完全導入も示唆しており、現段階での契約先はX-trac、またはウイリアムズ・アドバンスド・テクノロジーズ社などが有力視されている。

現行NGTC規定にアドオンする形でのハイブリッド共通キットの供給を予定する
TOCAは入札各社に対し、スバルの水平対向ユニットなどにも適応する技術仕様を提示している

 さらにイギリスの4輪モータースポーツを統括するモータースポーツUKは、「継続的な成功とシリーズの安定」を踏まえて、TOCAと結んでいる2022年までの既存契約を5年間延長し、2026年までBTCCの運営を託すことをアナウンスした。

 かつてはMSA(モーター・スポーツ・アソシエーション)として知られたモータースポーツUKは、この運営権延長の契約締結に際して「すべての関係者にとって長期的な安定性を確保しながら、予定を前倒しで取引を拡大することを決定した」としている。

 シリーズの最高運営責任者(CEO)を務め、FIAのツーリングカー・コミッション理事でもあるアラン・ゴウは、「我々は少なくとも、2026年までシリーズの運営を続けることができると確認できた。これはBTCCの長期的な安定に向け重要な意味を持つ決定だ」と、歓迎の言葉を残した。

「これにより、このエキサイティングな選手権の継続的な成長に不可欠な、確実性のある計画立案と運用が可能となった。そこにはもちろん、ハイブリッド技術の導入も含まれている」

 日本のマニュファクチャラーとも縁が深く、マルチコンストラクターのプロドライブを設立したデビッド・リチャーズは、現在モータースポーツUKの会長職も務めており、今回の契約に際して「少なくとも、2026年まで彼らとともに仕事ができることを喜んでいる」と語った。

「BTCCは世界で最も愛され、成功しているチャンピオンシップのひとつだ。イギリスではもちろんのこと、毎年30台を越える盛況なグリッド、世界の巨大マニュファクチャラーによるハイレベルなサポート、テレビのライブ中継、そして毎戦4万人を越える現地観戦組のファンに支えられている」と、改めてBTCCの規模を説明したリチャーズ。

「TOCAは、チャンピオンシップの組織化と推進において非常に優れた仕事をしてきた。これまでも英国各地のトラックでアクション満載のレースを提供しており、モータースポーツUKとしても彼らと2026年まで協定を延長できてうれしく思っているよ」

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