近江町市場に鯨肉初入荷 需要の伸びは不透明

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 金沢市の近江町市場に8日、1日に商業捕鯨が再開されて以降初めて、北海道・釧路沖で捕獲された鯨の肉がお目見えした。消費者からは「懐かしい味を食べたい」と歓迎する声が上がる一方、「昔は食べたが、積極的に食べようとは思わない」との意見も。商業捕鯨の「空白の31年」の間に食生活は大きく変化しており、石川県内で需要が伸びるか、良質な肉を確保できるかは不透明な状況で、市場関係者は今後の入荷に慎重な見方を示している。

 近江町市場の大口水産は8日、卸売業の石川中央魚市(金沢市)からミンククジラのあばら肉4・5キロを仕入れた。同社はこれまでも、北陸の定置網に意図せずに入った鯨の肉を取り扱ってきた。商業捕鯨で届いた鯨肉は4日に捕獲された個体で、「北陸産」と比べると鮮度は落ちるという。

 この日入荷した肉は店頭に並べずに、飲食店など業者向けに販売するが、買い物客から問い合わせがあれば100グラム当たり200~250円で売るという。担当者は「北陸で捕れた鯨の方が圧倒的に新鮮で、いろんな部位の肉が楽しめる。商業捕鯨の肉は今後、より鮮度の良い品が届けば、店頭に出す」と話した。

 大松水産も、能登の鯨肉を扱ってきたが、商業捕鯨の鯨肉は積極的に販売しない方針だ。同社の役員は「昔は食べる物がなかったが、今はそんな時代ではなくなった。特に若い子は買わないのではないか」との見方を示す。

 従来の調査捕鯨では、鯨の重さを量るため血抜きせずに水揚げされていたが、商業捕鯨では処理が手早くできるため鮮度が向上するという。近江町市場で買い物していた金沢市内の主婦(52)は「小学校の給食で竜田揚げを食べた思い出が懐かしい。また食べたいが、調理法が分からず、料理教室があれば参加したい」と流通規模の拡大を願った。

 一方で、過去に家庭でよく食べていたという同市内の無職男性(80)は「おいしくないし、今は食べたくない」とまったく関心を示さず、店先の多彩な海産物に目を向けた。