東京都選挙区から出馬する2名の自民党公認候補
東京都選挙区で自民党は、現職2名を擁立している。3期目を目指す丸川珠代氏と5期目を目指す武見敬三氏だ。後輩ながら環境大臣や五輪担当大臣を歴任した丸川氏に対し、政治家としてのキャリアがより長い武見氏には大臣経験はない。さらにいえば武見氏は、2007年の参議院選では落選も経験している。
この2人が7月8日に、都内でそれぞれ決起大会を開いた。今回もトップ当選を目指す丸川氏の大会は新宿区内のホテルで開かれ、東京都連所属の国会議員などの多くの面々が集まった。2017年の都議会選挙に出馬せずに引退した内田茂元東京都連幹事長も出席。西村康稔内閣官房副長官や自民党の加藤勝信総務会長も挨拶に立ち、丸川氏を誉めそやして持ち上げる。さすがに湧き上がるような熱気こそなかったものの、会場は安定した雰囲気に包まれていた。
武見陣営は危機感がいっぱい
もうひとりの自民党公認候補である武見氏は、この日の夜に板橋区内の公共施設で決起大会を開いている。ただしこちらは危機感でいっぱいだった。
「東京は6人の選挙区だが、(武見氏は)当落線上だ。ひとりひとりの皆さんが投票されるだけでなく、ぜひ“武見敬三の輪”を広げていただけるように、心からお願い申し上げたい」
東京11区選出の下村博文党憲法改正推進本部長がこのように訴える。決起大会に駆け付けた甘利明選対委員長も、次のように現状を説明した。
「いまの状況をお伝えすると、自民党のもうひとりの候補は大丈夫。武見候補の“支持率”の3倍はある。1番、2番、3番はほぼ確定。この3名の中に武見さんは、当然のことだが入っていない。残りの3議席を5人が争う状態だ」
2013年の参議院選で最後の1議席を民主党(当時)の鈴木寛元文科副大臣と争った武見氏は、午後11時34分にようやく当確を得た。序盤こそ世論調査の数字は好調だったものの、途中で伸び悩んだからだ。
親戚筋の麻生氏の力強い応援方法
今回は序盤から各調査の数字はまちまちで、丸川氏のように容易に「当選圏内」との判断がしにくい。
「ひとりが100万票とろうと110万票をとろうと、2議席にはならない。1議席は1議席」
武見氏の親戚になる麻生太郎財務大臣は持ち前の軽妙な語り口でこう述べ、自民党が2007年の参議院選で惨敗後に衆参のねじれが起こったために、「決められない政治」になったと主張した。そして二度とこのような生じないためには、2人を擁立する選挙区は2人とも当選しなければならないことを強調し、「6年間、毎年総理が変わっていた。旦那が毎年替わっちゃおかしいでしょ」と麻生節を聞かせている。
れいわの山本氏の比例転出で、可能性は広がった?
もっとも東京都選挙区に出馬すれば当選確実と言われた「れいわ新選組」の山本太郎氏が比例区に転出したことは武見氏には朗報だ。党内では「態度も顔もでかい」と言われながらも、決起大会では身体を90度に折り曲げて支持者にお辞儀してみせた武見氏だが、その成果は果たして……。