V長崎 8位折り返し 昇格へ巻き返し必須

高い得点力でチームをけん引するV長崎の呉屋(中央)。第17節の岡山戦は、鼻を骨折しながらもゴールを挙げた=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 サッカーJ2リーグはシーズンのちょうど半分に当たる第21節まで終え、V・ファーレン長崎は9勝4分け8敗、勝ち点「31」の8位で折り返した。首位山形との勝ち点差は「9」、2位京都とは「6」とわずかで、逆転は十分可能。ただ、J1に自動昇格するチームは最終的に「80」前後の勝ち点を積み上げている例が多く、V長崎が昇格を勝ち取るためには大幅な巻き返しが不可欠だ。

 「J2優勝、1年でJ1復帰」を掲げる手倉森体制の下で再始動した今季。開幕ダッシュに失敗し、第7節終了時点で20位まで沈んだ。第13~16節の4連勝などで徐々に持ち直したものの、第19節山形戦、第21節京都戦など重要な上位対決で勝ちきれず、チームが描いていた「夏までに首位争い」というプランは実現が難しくなった。
 苦戦の要因の一つはボール支配率の低さにある。組織的にボールを持ち上がって相手を崩すシーンはわずか。先制に成功しても試合を落ち着かせられず、守備に回る時間が長くなった結果、失点してしまうなど攻守両面でネックになっている。昇格を争う上で立て直しは急務だ。
 こうした中、ひとり気を吐いているのがストライカーの呉屋。シーズン途中の3月下旬にG大阪から期限付き移籍で加入した25歳は第9節、先発2試合目で2ゴールを挙げると、第13~19節はリーグ歴代最多に並ぶ7試合連続弾でチーム浮上の原動力になった。現在11ゴールで得点ランキング3位タイ。個人タイトルも狙える位置につけている。
 もう一つの貴重な得点パターンはセットプレー。今季加入した大竹が左足で精度の高いクロスを供給し、香川や高杉ら空中戦に強い選手が仕留めている。シュート数では毎試合のように相手に及ばないものの、総得点数29はリーグ6位タイと上位。呉屋の個人技や、FK、CKから高い決定力を見せている。
 もろさが目立つ半面、他チームの脅威になる武器も併せ持っている今季のV長崎。手倉森監督が「少しずつ高まり、シーズンが終わったときにチームが完成していればいい」と表現するように、弱点さえ克服すればJ1への道も広がるはずだ。

前半戦の戦績と順位

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