【インタビュー】ベテラン揃いのFIA-F2で苦戦するミック・シューマッハー「短い走行時間ですべてを理解するのは難しい」

 2019年のFIA-F2に参戦中のミック・シューマッハー(プレマ・レーシング)、父親が7度のF1チャンピオンであるミハエル・シューマッハーの息子ということもあり初年度ながら様々なメディアから注目を浴びている。

 しかし、チャンピオンシップ争いという点では厳しい戦いを強いられている。FIA-F2第5戦フランスの現場でミックに今の状況と今後の展望を聞いた。

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FIA-F2フランス レース1:ミック・シューマッハー

――ヨーロアンF3選手権でチャンピオンになったことは、F2に参戦するにあたってどれだけの自信になりましたか?また、これまでのところF2での調子はどう?
ミック・シューマッハー(以下、ミック):(ヨーロアンF3選手権とは)マシンはまったく異なるものだね。ドライビングスタイルやその他すべてのことに関してもだ。

 それにこれまでの状況からチャンピオンシップは少々厳しいものになっている。走行時間はとても少ない。たった40分のフリー走行で、実際には全力でプッシュできるのは3周で、それで終わりだ。そうしてすぐに予選と決勝に進むんだ。

 FIA-F3では全体的にもっと走行時間があった。フリー走行セッションが2回、予選セッションが2回、そして3回のレースがあるからね。実際に走行時間は増やされたんだ。

 その点が多くのルーキーにとってF2で慣れなければならないことだ。走行時間がとても少ないからね。そのうえでタイヤや、他のすべてのことを理解することは簡単ではないよ。

――シーズンが進むなかで、第1ラウンドのバーレーンでは2度のトップ8フィニッシュを果たすという、君にとっては本当にポジティブなスタートになったけれど、そのことはどれだけ励みになった?
ミック:僕にとってはタイヤに慣れるのがとても難しかったのは確かだし、最初のレースでは控えめにプッシュした。それが、僕が最後に多くのタイヤを残した理由だ。そうして順位を大きく上げることができた。

 レース2では戦略を少し変えてみた。予選でのミスのせいでレース2の戦略を多少妥協しなければならなかったのは確かだ。それ以外の点ではとても良い仕事ができたと思う。でも全体的にあの週末は大成功だったし、タイヤとマシンの知識を得ることができたから、そこからすべてを改善できるようになるだろう。

――タイヤはF2において最も難しいことだと思いますか?
ミック:そうだね。タイヤを理解するのはとても難しい。適正範囲内に収めることがね。100パーセント完璧にしようと今も取り組んでいる。タイヤは毎回変わってしまうんだ。フリー走行ではハードタイヤを使い、予選ではハードタイヤからソフト寄りのタイヤに変える。

 このふたつのタイヤの差は2秒から4秒といったところだ。それに慣れなければならないし、1セット目からすぐさま理解しなければならない。そして2セット目のタイヤを完全に使いこなすんだ。

――今年の他のドライバーの経験は見事なものです。経験豊富なドライバーがチャンピオンシップのトップに名を連ねていますね。
ミック:そうだね。一部の参戦ドライバーは、F2にもう3年や4年もいる。彼らはもはやタイヤに集中する必要がない。タイヤを理解しているからね。だから彼らはセットアップを仕上げるといったような他のことにより多くの時間を使える。

 経験がそれほどないドライバーは、今もさらに理解しようとし、基本的にすべてのことを同時にやろうとしている。一方で経験のあるドライバーはより知識があるから、細かいことを完璧に仕上げたり、細部に集中できる。

――君は第2ラウンドのバクーでも速かった。レース1でのミスの前にはポイント圏内にいたし、レース2では見事に盛り返した。自分の期待以上のシーズンスタートを切れたと感じていますか。
ミック:予選でのパフォーマンスは重要だったと思う。そこで何かを逃したという感じは持っていない。レースのセットアップを理解しようともしていたんだ。

 レース1でミスをすると、週末全体が損なわれてしまう。だからレース1の結果を最大のものにすることが本当に重要なんだ。少し勢いを抑えてトップ8位内に入ろうとする。そうすればレース2もだいぶ順調なものになるだろう。そうすれば週末全体が良いものになる。レース1の結果が悪ければ、週末全体がほぼだめになってしまう。

FIA-F2モナコ レース2:ミック・シューマッハー

――レース結果は伴わなかったけれど、君がグループ内で2番手になったモナコの予選はどれくらい楽しめましたか?
ミック:とても楽しめたよ。モナコはドライブするのに特別な何かがある。僕の母に話したんだけれど、自分がやっていることのコントロールができずに、ただドライブしているように感じたんだ。考えてしまうと、遅くなりすぎてしまうようだった。

 自分の考えを締め出して、『OK、行くぞ』という感じだった。そしてアタックしたんだけど。タイミングラインを超えた時は多少ラッキーでもあった。フィニッシュのコンマ数秒前で超えたから、2周目を走ることができたんだ。

 その後は、先頭に出るのにもう少しうまくやることはできなかったけれどね。でも全体的に初めてのモナコでは、良い仕事ができたと思うし、そのことを僕たちは肯定的に捉えることができると思う。

――今年、どれだけ早く経験を積もうとしていますか。今シーズンで結果を出すか、それともこの1年全体を学びの年に?君の目標は何でしょう。
ミック:最初の数戦で学んだことを理解することは今とても重要なことだと思うし、実戦に取り入れようとしているところだ。結果を出す走行を始めるためにね。

 つまりレース1でもう少し力を抑えてポイントを獲得すれば、レース2でも結果が出せるかもしれない。予選でも常に上位につけたいね。そして持てるものを使って速さを出し、週末をまとめ上げるんだ。

――経験が重要だから、F2に来年も留まることになると考えていますか?それとも今年後半に結果を出したら、来シーズンはF1にステップアップする可能性があると思いますか。
ミック:これからのレースがどのような結果になるのかは間違いなく興味深いよね。結果がどう向上していくかによると思う。何が起こるかについては、本当にわからない。

 今の時点で話すのは難しい。様々なことが起き得るから、様子を見ることになるだろう。F1がどうなるのか、ここF2でどうなるのか話すのは難しいことだ。僕はただ見守りたいと思うよ。

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