本塁打増はMLBの狙い通り? バーランダー「100%」「試合をぶち壊している」

アストロズのジャスティン・バーランダー【写真:Getty Images】

バーランダーは今季メジャー最悪26被弾「ボールが飛ぶようになったのが偶然なんて信じられない」

 アストロズのジャスティン・バーランダー投手は大リーグが意図的に遠くに飛びやすいボールを使用していると主張した。米スポーツ局「ESPN」のジェフ・パッサン記者が伝えている。

 これまでにMLB機構は飛ぶボール説について否定。MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏はボールが本塁打の増加に関係しているか調査させたところ、ボールのパフォーマンスは異なるものの、本塁打の増加には影響がないと結論づけていた。この調査結果発表後の1か月後の18年6月にMLB機構はボールを供給するローリングス社を買収した。8日にマンフレッド氏はボールに変化があったことを認めたが、ボールの構造へのMLBの関与は否定した。MLBによるボール供給会社の買収で、バーランダーの不信感は募る一方のようだ。同局は剛腕のコメントをこう紹介している。

「MLBは試合をぶち壊している。彼らはローリングス社を所有しているんだ。マンフレッドがボールの芯の位置のせいかもしれないと言っていた。でも、その会社を所有しているんだよ。もし400億ドルの会社が4億ドルの会社を買収し、製品が劇的に変化したとしたら、何かが起こったというのは推測じゃない」

「皆、何が起こったか知っている。マンフレッドが就任した時、何と言った? 彼はもっとオフェンスが必要だと言ったんだ。偶然じゃない。僕たちはバカじゃない。(ボールが変わったことを)100%確信している。ずっとホームランダービーではそうしてきたのだから、やり方を知っている。偶然じゃない。MLBがローリングス社を所有し、ボールが飛ぶようになったのが偶然なんて信じられない」

 通算214勝を挙げている剛腕は今季10勝4敗、防御率2.98。9日(日本時間10日)に行われたオールスター戦のア・リーグ先発投手を務めたが、今季はすでにメジャーワースト26被弾。キャリア最悪だった16年の30被弾を大幅に更新するペースとなっている。長く第一線で活躍してきたが、「打者が誰であっても、本塁打が打てるから、非常に危険だと感じる」という。

「マウンドでの感じがすごく嫌だ。ゾーンに投げたら、打者は持っていく。上手く当てられなければいいということではなくなった。バットに当てられないようにしなければならない。5年前なら、速球で仕留められた場合も、今年は、そういかなかった場面が何度もあった。もうそうはできない。8番、9番打者でも、本塁打を打つことができる」

各球団のエース級投手が賛同 シャーザー「ボールに違いを感じないけど、間違いなくよく飛ぶようになった」

 他の選手はどのように感じているのだろうか。同局はレッドソックスの主砲JD・マルティネスとブルージェイズの主戦右腕ストローマンのコメントを紹介している。昨季打点王に輝き、チームの世界一に貢献したマルティネスは「投手は、パワーに重きを置いている。四球が三振だけだ。その分(投手の)ミスが増えていると思う。球の速さと、打者が打ち上げようとすること、それで、本塁打が増えているのだと思う」と分析したものの、投手のストローマンはバーランダーの意見に賛同した。

「この件に関しては(飛ぶボールになったと主張する)ジャスティン・バーランダーとCC・サバシアにある程度賛同する。それは明らかなんだ。受け入れるしかないよ。それが現実なんだから。僕らがコントロールできることではないからね。考えたって仕方ない」

 さまざまな意見が飛び交う飛ぶボール説――。バーランダーはボールの変化が話題になった2017年と2019年に親指に水膨れができたという。そして、こう続けている。

「球界にとって良いことか悪いことかはわからない。それは彼ら(MLBサイド)が決めることだ。僕はいいことだとは思わない。このことについて、僕は多く語っているけど、これまでの歴史と比べて異なっているのがわかるだろう。もし、何かを劇的に変えるのなら、皆に知らせるべきだと思う」

 MLB全体でも今季の本塁打数は3691本で、17年の最多6105本を大幅に上回るペース。飛ぶボールについては、マックス・シャーザー(ナショナルズ)も「僕はボールに違いを感じないけど、間違いなくよく飛ぶようになった。コミッショナーも空気抵抗が減少したと言っていた。ボールが変わったとしても、騒いでも仕方ない。打者が打てるようになったってことだけだ」と話している。現役トップ投手からの指摘。MLB機構はどのような対応へ動くのだろうか。(Full-Count編集部)

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