トップ懇談から4カ月で… 横浜・千葉銀、異例の提携

握手する横浜銀行の大矢恭好頭取(左)と千葉銀行の佐久間英利頭取(右)=東京都中央区

 全国の地方銀行の経営統合や提携が相次ぐ中、地銀トップ級の規模を誇る横浜銀行(横浜市西区)と千葉銀行(千葉市中央区)が営業面での業務提携に踏み切った。異例とも言える今回の提携は超低金利が長引き、貸し出しや資金運用で稼ぎづらくなるなど、地銀経営の手詰まり感が強まっていることが背景にある。

 「顧客に質の高いサービスをより効果的に提供できる」。横浜銀行の大矢恭好頭取は10日の記者会見で、提携によるメリットを繰り返し強調した。ともに成長の続く首都圏に立地し、事業戦略が似ているといった両行の親和性や、店舗網の重複が少ないことが提携に至った理由と説明した。

 会見した大矢頭取と千葉銀の佐久間英利頭取によると、業務提携に動きだしたのは今年3月。トップ同士の懇談をきっかけに、約4カ月で話をまとめた。

 東京証券取引所などに上場している地銀78社の2019年3月期決算は、全体の約7割に当たる54社が減益か赤字となった。超低金利が続く上、キャッシュレス決済などの金融サービスを展開するIT企業などなどの存在も銀行業界を脅かす。首都圏に強固な基盤を持つ両行は19年3月期決算でも貸し出しが増加したが、今後の経営環境の厳しさを見据え、新たな協力関係の構築にかじを切った形だ。

 一方、市場関係者の間では、横浜銀と経営統合した東日本銀行(東京)が不適切融資で業務改善命令を受けたことが今回の業務提携を後押ししたとの見方がある。

 大矢氏は会見で「(当行や千葉銀と東日本銀は)ビジネスモデルが全く違う」と述べ、東日本銀の経営改善に注力する姿勢を強調。千葉銀が16年から提携する武蔵野銀行の合流について「将来的に検討したい」(千葉銀の佐久間英利頭取)と発展への意欲を隠さなかったのとは対照的だ。

 ある市場関係者は「経営統合後に東日本銀の不祥事が発覚し、横浜銀側が忸怩たる思いをしたことが尾を引いている」と指摘した。

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