社説(7/11):2019参院選 野党共闘/政策の整合性 説明丁寧に

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 政権批判の受け皿はそこそこ整ったものの、共通した「旗」は明確ではない。「安倍1強」を突き崩す対抗軸となり得るのか、勝負どころだ。

 中盤戦に入った参院選(21日投開票)で、共闘を組む野党勢力である。

 立憲民主、国民民主、共産、社民など野党5党派は32の改選1人区全てで候補者を一本化した。勝敗を左右するとみられる1人区で自民党公認候補と渡り合うためだ。

 共闘の効果は過去の戦いを見ると明らかだ。旧民主と共産が競合した2013年参院選(改選1人区は31)は、野党が2勝29敗で惨敗。統一候補を立てた16年は11勝21敗と差を縮めた。

 同年はいずれも1人区の東北6選挙区で自民党が勝利したのは秋田だけ。他の5区は野党統一候補が自民候補を圧倒した。全国的には自民圧勝の流れだったが、東北の有権者は安倍1強に異議を示した。今回も与野党にとって落とせない激戦区が多い。

 共闘の土台となる政策について5党派は、安全保障関連法廃止を訴えるグループ「市民連合」が提案した13項目の政策要望書に署名した。憲法9条改正反対や安保法廃止、原発ゼロなどを「共通政策」として訴える。

 選挙戦で野党各党は、消費税の10%への引き上げ反対や安保法廃止などで足並みをそろえる。一致点を前面に出す戦略だ。ただ、認識の違う基本政策を巡っては整合性が問題視される部分もある。

 首相は3日の党首討論会で、立民と共産の基本政策の違いを突いた。野党統一候補に関し「共産党は自衛隊に反対との立場だ。憲法について全く統一されていないのは大きな問題」と指摘。野党共闘の分断を狙ったのは明らかだ。

 立民の枝野幸男代表は「1人区は候補者を一本化し、有権者に今の政治の継続でいいのか、それとも軌道修正が必要かとの選択肢を示した」と反論したものの、弱点が浮かび上がった。共闘の真価が問われる。候補者や党首には丁寧な説明を望みたい。

 安倍政権に代わる経済政策はもちろん、与党に先駆けて多様な価値観を尊重した社会の姿も示すべきではないか。公約に掲げる選択的夫婦別姓導入やLGBT(性的少数者)差別解消法制定に関する論戦をリードしてほしい。

 先の国会で与党は、老後資金2000万円問題などに関する審議を1強政権におもんばかるように自ら遠ざけた。「行政を監視しない国会」が鮮明になり、野党の役割はさらに重みを増した。

 野党勢力は離合集散を繰り返し「多弱」となり、結果的に安倍政権の基盤を補強してきた。参院選で共闘の成果をどれだけ挙げられるかは、取りも直さず次期衆院選の野党連携にも直結する。

 政権の選択肢たり得るか。有権者の信頼を勝ち取り、攻勢に転じる気概が問われる。