タイワンリス対策 待ったなし 

官民連携「増えるより多く捕獲を」

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講習会会場に展示されたタイワンリスの剝製と捕獲用わな

 長崎県五島市福江島で農作物や樹木などの食害を引き起こしている特定外来生物タイワンリス(クリハラリス)の根絶に向け、生態や防除手法を学ぶ講習会が7、8両日、市内であった。講師を務めた森林総合研究所九州支所(熊本県)の安田雅俊・森林動物研究グループ長は「福江島の対策は待ったなし。(毎年の出産で)増えるよりも多く捕まえる体制を早急に整えることが重要」と強調し、行政や捕獲業者、一般市民が役割分担していく必要性を訴えた。
 タイワンリスは台湾原産で、体長約40センチ。繁殖力が強く年間で最大3回(1回に平均2匹)出産する。果実や花、虫、鳥の卵などを食べ、農業被害や生態系の乱れが懸念される。ツバキの樹液や果実も好物で、樹皮を剝いで木を弱らせたり実を食べたりするため、五島特産のつばき油生産に悪影響を及ぼす恐れも指摘されてきた。
 福江島では1990年代に鬼岳周辺で野生化した個体が見つかり、現在では北東部の奥浦方面や南部の富江方面に生息域を拡大。このペースだと2030年には島全域に広がる恐れがあるという。近年の年間捕獲数は2千匹前後で推移しているが、毎年生まれる数と同程度の捕獲にとどまっているとみられ、推計1万匹ともされる全体数の減少にはつながっていない。
 安田さんはタイワンリス根絶が目前となった熊本県宇土半島の成功事例に触れ、報奨金制度を活用して市民にも捕獲に協力してもらうことや、行政や捕獲業者などが定期的に現状分析や対策見直しを行う協議会の設置が必要と指摘した。福江島独自の捕獲体制も提案。島を3地域に分け、捕獲専門チームが生息数が多い山間部などに集中的にわなを設置。一般市民には各地域の間にある民家や公園、畑の樹木などにわなを仕掛けてもらい、リスの移動を防ぐ役割を求めた。
 市農業振興課は、市民に捕獲用のわなを無料で貸し出しており、タイワンリス1匹当たり800円の報奨金を出している。市民にも防除に協力してもらう狙いだが、現在の協力者は40人弱と目標の10分の1以下にとどまっており、協力を呼び掛けている。問い合わせは同課(電0959.72.7816)。

タイワンリスの生態などについて語る安田さん=五島市長手町、長手スポーツセンター