小籔千豊MCの「ウルトラハイパー ハードボイルド グルメリポート」がゴールデンへ!「本来は生きるために食わなあかんということを思い出させてくれるような番組」

小籔千豊MCの「ウルトラハイパー ハードボイルド グルメリポート」がゴールデンへ!「本来は生きるために食わなあかんということを思い出させてくれるような番組」

2017年深夜に放送されて以来、その内容や映像のリアルさが「ヤバすぎる」と話題となった「ハードボイルド グルメリポート」(テレビ東京)。ギャラクシー賞まで受賞したこの番組が、いよいよゴールデンで復活を果たします! MCは小籔千豊さん。そしてゲストに、この番組のファンだという有吉弘行さんを迎えます。今回は、殺人事件が頻発するケニア最大のゴミ山に暮らす少年や、毎月平均4人が命を落とすボリビアの人食い鉱山で働く青年などに密着し、彼らが食べているものを取材。またもや反響を呼ぶ内容になりそうですが、小籔さんと番組プロデューサー・上出遼平さんにお話を伺い、番組の魅力について聞きました。

──これまで深夜でひっそりと放送されていた番組ですが、今回ゴールデンで放送されます。それを聞いた時の感想を教えてください。

小籔「ゴールデンになると聞いた時は、『当然やな』という思いが20%くらいでしょうか。ゴールデンでも結果が出るくらいの面白さだと思いました。80%くらいは、『あんなん流して大丈夫なのか』と。僕はテレビのことは分かりませんが、ゴールデンで放送されている番組というのは、緩やかでいろんな層の人たちがご飯を食べたり、料理をしたりしながら、最大公約数の人たちに刺さるものが流れている印象です。それにしては、料理の手を止めてしまうのではないかとか、お食事中の会話の方向性を変えてしまうのではとか、大丈夫かなと思っていました。ただ、深夜で放送されている時には見ている人が少ないですし、もっと多くの人が見ている時間帯に流すべき番組だと思っていたのでいいと思いました」

上出「僕は、ゴールデンで放送と言われた時は、うれしさ20%でした。80%は正気なのかと」

小籔「一緒かい(笑)。上出さんの立場からしたら、深夜番組がゴールデンに行くのは出世でしょう。それは逆じゃないとおかしい」

上出「そうなんですけど、いざその立場になったら、80%は『マジかよ』と。2時間見てもらえるだろうかと」

小籔「テレ東さんは割とクレイジーなテレビ局とは聞いていましたが、ここまでとは…という感じなんですかね」

上出「いよいよかなと思いましたよね。ここまで来たかと。扱う内容も変えないと、と思ったのですが、ふたを開けたら、一つ目はアフリカのゴミ山だったりして、変えるのは無理だなと思いました。逆にしょうがないかなと思っていますね」

小籔「変えなくていいですよね。前の放送を評価されてのゴールデンですから。変えたら変えたで『何しとんねん』みたいなね」

上出「会社としては『視聴率を』というのもあるのですが、偉いオジサマたちに『数字じゃねえんだよ』とお言葉をいただいているので、その言葉だけは記事にしていただきたい!」

──今回はゲストに有吉さんが出演されます。有吉さんとはどのような話がしたいですか?

小籔「有吉さんといえば、ほぼ同年代の中の、超ウルトラハイパー覇者じゃないですか。覇者が来てくれるということで、チャンネルを変える手を止めてもらえるというか…簡単に言うと客寄せパンダですよね(笑)。こちらとしてはありがたいなと。有吉さんの番組なら、『覇者の胸を借りてボケ放り込んだんねん』とか思うんですけど、この番組に関しては、2人で見て、どよーんとするんだろうなという感じです。でも、この番組のファンということで、僕たちとは違う見方や目線があると思うので、この番組を見た有吉さんなりの感想を聞いて、『同じもん見てもこういう考え方あんねや』という感想は知りたかったんですよ。今まで僕しか見てなかったから、『他の人はどう思ってんやろ』と気になっていたので、覇者の感想も気になりますね」

上出「有吉さんは、小籔さんと違う生き方をしてきた方だと思うので、有吉さんが何を言うのかは純粋に気になりますよね」

小籔「僕は大阪のぬくぬくしたところで、ご飯に困ったことがない状態で生きてきたんです。有吉さんの場合は、一度ご苦労されたと聞いていますし、世界を回って現場を見ている方だし、海外でもご飯を食べられないという経験もされていますしね」

──番組の特徴が、インパクトのある映像だと思います。一方で、ゴールデンで放送となると視聴者層が変わると思うのですが、どういったところを見てほしいですか?

上出「ゴールデンだからといって、特に何かを変えようとは思っていなくて。想定しているターゲットを変えたつもりもない。深夜の時から映像の刺激が強い番組ではあるのですが、伝えようとしている内容は老若男女問わず知ってもらいたいことをメッセージとして伝えようとしているので、変えようとはしていないんです。だから不安なんですよね。ただ、今回はアフリカのゴミ山の話などがメインになったりするんですが、ものすごく奇麗だと思います。見ていただいたら分かると思うのですが、ゴミ山のはずなのに天国みたいな世界が広がっていたりして。これは見ていただきたいです。そこで暮らしている人が主人公なんですが、それも美しくて。汚いなとか思うかもしれませんが、ちゃんと見ていただけたらそんなことはないです」

──ギャラクシー賞を受賞されたことも大きなターニングポイントかと思うのですが、その前後で制作に変化はありましたか?

上出「確かにちょっとプレッシャーは増しましたよね。第1弾をやった時は何のプレッシャーもなく、面白いだろと放り投げたら、思いのほか認めてもらえた部分があって。それを超えなきゃいけないと思いながら、でも会社としては“危険”ということに敏感だったりするので、“危険”とは違う“ヤバい”を模索していかなきゃと思ったのが第2弾でした。カルト教団とか、難民とか。エッジという意味では最初から効いていたので、“ヤバい“という意味合いを自分の中で変えながら新しいものを見せていきたいなと思っています」

──小籔さんは、ロケに行ってみたいという気持ちはありますか?

小籔「ロケに関しては、おいしい物を食べられるかもしれないから行きたいなとか、厳島神社ロケがあったらうれしいなとか、心待ちにしているのですが…、この番組はそういう思いとは真逆ですよね(笑)。でも、いつかは行かせてもらっても、と思っています。その代わり、しっかりと僕は保険をさらに掛けていくと思いますね」

上出「過去に放送した国だったら、どこに行ってみたいとかあります?」

小籔「リベリアかセルビアが一番行きたいですかね。リベリアの“元少年兵飯”はせつなさがありましたよね。『僕らは日本という奇麗事の国に住んでんねんな。僕らが安全すぎて、おかしな状態になってんねんな』という現実が浮かび上がったような気がしました」

上出「ホテルとか食べ物とかは大丈夫ですかね」

小籔「僕はお肉を食べないんですが、虫は食べられるんです。コオロギとかも別に大丈夫です」

上出「シャワーとか、お湯がなかったりしても大丈夫ですかね。18℃くらい」

小籔「18℃…。ま、本来やったらNGなんですけど、この番組であれば大丈夫です。寒いのだけは、やめてほしいんですよね」

上出「いいことを聞きました。カメラとかってやられたりするんですか?」

小籔「一人で行かされるんですか!? それでもいいですけどね(笑)」

──それでは、これまで放送した中で食べてみたいなと思った食べ物はありますか?

小籔「正直、僕は和食が好きなので一つもありません(笑)。基本的に、海外のご飯で魅力的なものが一つもなくて。でも、人生の勉強のためにうかがえたらなと。ご飯目的ではないです」

──上出さんは今までで一番過酷だったロケはありますか?

上出「対人間的な過酷さでいうと、リベリアですかね。危険が目の前にありました。カメラをむしり取られるなんて、なかなかないですからね。僕は結構ありますけど。本当にしんどいのは、今回のケニアのようなゴミ山の取材が一番大変でした。気管もやられちゃうし、ありとあらゆる有害なものがもくもく立ち込めていて。2~3日くらいゴミ山にいたのですが、帰ってきてからもせきが止まらないんです。そこに住んでいる人がいるわけですから、とんでもないタフさだなと思いました」

──最後に、この番組の魅力はどのようなところにあるでしょうか。

小籔「ニュースや教科書では分からないことがこの番組には詰まっているのかなと思います。でも、うっすら分かっているんですよね。『えーーっ!』の衝撃ではなくて、『やろうな、そうやとは想像していたけど、やっぱりそうか』とか。知っていたのに意識していなかった自分とか、忘れていた自分が『あほやな』と思うんですよね。本来は生きるために食わなあかんということを思い出させてくれるような番組です。エッジの効いたことを言うと、“食育”と言っている人よりも、この番組の方がはるかに食育しているなと思います」

上出「小籔さんもおっしゃっていたように、たぶん、全く知りもしない世界ではないんですよね。臭い物にふたをするじゃないですか。隠されているということを明らかにする部分が面白くて、魅力の部分になっているのかなと。エンターテインメント的なことでいうと、どんな番組よりも予測不可能というか、全く思いもしないようなことだけが起こっているんです。台本も1ミリも書いてないですし、こんなところにこんな人がいるらしいという情報だけで行くので、現場のディレクターでさえ振り回されていくという状況になるんです。流れに身を任せるような感覚が見世物というか、エンターテインメントとして前のめりに見てもらえる感じなのかなと思います」

【番組情報】


「ウルトラハイパー ハードボイルド グルメリポート」
テレビ東京系
7月15日 午後9:00~10:48

テレビ東京担当 前里有沙

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