改憲問題 論戦は低調 長崎の候補者 ほぼ言及なく 「連立」「共闘」も違うスタンス

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 安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正。今回の参院選で、憲法改正に前向きな「改憲勢力」が、国会発議に必要な3分の2以上の議席を参院で維持するか否かに注目が集まるが、長崎選挙区(改選数1)では改憲問題への候補者の言及がほとんどなく、論戦は低調だ。有権者からは活発な議論を求める声も上がる。
 公示前、県内各地で開いた国民民主新人、白川鮎美氏(39)の決起集会。「変えるべきは憲法ではなく、現政権ではないか」。白川氏がたんかを切ると、拍手が巻き起こった。自民現職の古賀友一郎氏(51)も公示前、長崎市内での街頭演説では「自衛隊は憲法に明記しなければ法的に危うい。そのことを強く訴えたい」と強調。だが、選挙戦に入ると、改憲を巡る論戦は鳴りをひそめ、古賀候補は「政治の安定」などを、白川候補は「暮らし重視」「家計第一」などを主軸に置く。
 参院選で憲法9条への自衛隊明記などを公約に掲げる自民。連立与党の公明は「慎重に議論されるべきだ」との立場を示す。これに対し、主要野党は安倍政権下での改憲発議阻止の構えだ。ただ、改憲論議を巡るスタンスの違いは全国1人区で共闘する野党の間にもある。
 公約で共産と社民は明確に改憲反対を訴える。国民と立憲民主は安全保障政策について「安保法制の廃止」「日米同盟を基軸とした防衛力整備」を主張。国民は「未来志向の憲法を議論する」とし、立民は「安全保障環境を直視し、領土・領海・領空を守る」としている。
 スタンスの違いをはらみながらも共闘する野党を自民は「野合」と批判。3日の党首討論で安倍首相は「政府を倒すためだけに統一候補を選んだ」と切り捨て、立民の枝野幸男代表は「安保法制を廃止にするという点で一致した」と反論した。
 公示前に改憲への考えを聞いた長崎新聞社のアンケートで、古賀候補は「専守防衛の現行解釈を維持しつつ、自衛隊の存在を憲法上明記し立法的に解決すべきだ」、白川候補は「安倍政権による9条改憲発議には反対」などと回答。だが公示後、両候補は改憲を訴えの主要なテーマに据えていない。理由について、古賀候補は取材に「社会保障を第一に伝えたい。(改憲に触れないのは)時間的なこと」と説明。一方の白川陣営からは「(『安倍政権による9条改憲発議の阻止』を盛り込んだ野党間の)共通政策以上に踏み込んだ主張はしづらい」「経済政策を押し出した方がいい」との声が聞かれ、改憲を巡り野党間のスタンスが異なることへの配慮も透ける。
 参院選が中盤に入る中、論戦は年金問題など社会保障政策を軸に展開されている。公示後、両候補が立て続けに遊説に訪れた新上五島町。訴えを聞いた無職男性(77)はこぼした。「憲法や外交の問題をもっと聞きたかった。票にならないから話さないのかな」