日野自動車、居眠り運転防止に向け新たな取り組み
日野自動車は、安全運行に貢献するための活動として実施している「運行管理者等指導講習」において、ドライバーの睡眠改善に役立つコンテンツを新たに追加する。
これは近年の追突事故の50%を占めている居眠りを原因とする事故防止に貢献することを目的としたもので、新コンテンツを盛り込んだ講習は2019年7月13日からスタートする。
日野は自動車メーカーとして唯一、事業用自動車の安全運行を目的とした運行管理者等指導講習を実施している。
居眠り事故防止へ向けた取り組み
高速のトラック追突事故、半数は居眠りが原因
トラックによる高速道路での死傷事故件数の約70%が追突事故であり、その原因の50%が居眠り運転であるというデータがある。
2018年6月より施行された国土交通省の事業者向け規則改正において、睡眠不足の運転手を乗務させることが禁止された。また、乗務前の点呼において睡眠不足を確認、報告および記録することが義務化されたことから、運送事業者の睡眠改善へのニーズが高まっている。
睡眠改善に役立つコンテンツとは
ドライバーの睡眠改善に役立つコンテンツの作成にあたって、株式会社ニューロスペースの協力を得ている。ニューロスペースがこれまでに多様な産業現場で蓄積した70社・延べ1万人以上の睡眠課題ビッグデータ・改善ノウハウをもとに、運送事業者が抱える特有の睡眠課題や睡眠の質に関わる生活習慣に焦点を当てた内容になっている。運行管理者は、自社のドライバーがその日から取り組める改善策を動画で学ぶことができる。
運行管理者等指導講習について
運行管理者等指導講習とは、事業用自動車の安全運行を管理する運行管理者が2年に1回受講しなければならない講習で、独立行政法人自動車事故対策機構のほか、貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づき国土交通大臣が認定した企業・団体が実施している。
日野は2015年に認定を取得。受講者数は年々増加しており、2018年は約900人が受講した。
講習内容は認定機関が独自にアレンジできるため、日野では安全運転支援装備の知識や事故防止対策事例を交えた、より実践的な内容を提供している。
安全機能の開発
日野は「交通死亡事故ゼロ」の実現に向けたハード面の対策として、「安全・環境技術を追求した最適商品」の開発も進めている。
例えば、ドライバーの集中力低下や運転姿勢崩れを検知すると警報で知らせる「ドライバーモニターII」を大中型トラックと大型観光バスに標準装備化したことや、近年増加傾向にあるドライバーの健康状態の急変による事故の対策として、2018年7月には非常ブレーキスイッチ式の「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」を商用車として世界で初めて実用化するなど、開発した技術を速やかに投入し、積極的な標準装備化を進めている。