恐竜は本当にいるんだ! 少年たちの夢を叶えた『ジュラシック・ワールド』によって本格的な恐竜時代が到来

『ジュラシック・ワールド』© 2016 Universal Studios. All Rights Reserved.

誰もが夢見たホンモノの“恐竜”を現代に蘇らせた『ジュラシック・パーク』シリーズ。初期3作で描かれた壮大な世界観と恐怖が、2010年代の最新テクノロジーを踏まえつつも懲りずにやらかす『ジュラシック・ワールド』『ジュラシック・ワールド/炎の王国』によって再び現実となって人間に襲いかかった!

恐竜に会えた日

小学生の頃からほぼ毎日百科事典の恐竜が出てくるページを開いて、いつこの美しい生物に会えるんだろう、会えないんだろうけど、と枕をかじっていた私。正直、生きているうちにお目にかかることができるとは思わなかった。

『ジュラシック・ワールド』© 2016 Universal Studios. All Rights Reserved.

きっと皆さんも、J・F・ケネディが暗殺された日、あるいはジョン・レノンが射殺された日のように鮮明に覚えていることでしょう。『ジュラシック・パーク』は1993年6月11日にアメリカで上映が始まり、大騒ぎになりました。「ついに会えた!」と、あまりの興奮に寝られなかったことでしょう。

私は当時ロンドンに住んでいたので、映画街レスター・スクウェアで一番スクリーンがでかいエンパイアーに駆けつけた。恐竜に会えた、という瞬間に涙が出た。30年間待ってたんだよ、生きていた甲斐があった。どの恐竜の血も蚊が吸ってくれて、しかもそのまま琥珀に閉じ込められていてくれてよかった。そんな都合のいい話があるんかい、とか全然思わなかった。琥珀の中のは一匹だけだったけどね。

『ジュラシック・ワールド』© 2016 Universal Studios. All Rights Reserved.

この原稿を書く前に、どうやって恐竜を再生したのかを調べてみたが、何故あんなに多くの種類の恐竜が走り回ることになったのか、まだよくわからない。小説家マイケル・クライトンが科学を超えた想像力を発揮したのだろうけど、そのおかげで恐竜が現在に存在してくれるようになったのだから、それはそれでいいです。

恐竜は相変わらず元気

あれから26年か。老兵は死なず、去り行かず、ただ恐竜の夢を見る。毎回このシリーズの作品を観終わるたびに、今度はいつ会えるんでしょうか? と誰かに聞きたくなる。

『ジュラシック・ワールド』 Blu-ray:1,886円+税/DVD:1,429円+税 発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント ※2019年7月の情報です

『ジュラシック・ワールド』が公開されたのは2015年。「パーク」が悲惨なことになってしまって閉鎖されたのに、それでも懲りずにまた同じところに新しい施設を作るってのは、アメリカ人の恐竜好きも気合が入っている。しかも、今度は白亜紀にもジュラ紀にもいなかった、ティラノサウルスよりふた回りもでかくて強いのを遺伝子組換えでこさえちゃった。

前の施設で失敗したのに大丈夫か? もちろん大丈夫じゃない。大丈夫なら続編なんて作らない。

『ジュラシック・ワールド』© 2016 Universal Studios. All Rights Reserved.

『ジュラシック・ワールド』はお子様が大活躍というか、相変わらずやらかしてくれるので、大変なうえに、ティラノサウルスもどき同士が戦うという“ゴジラ対キングギドラ”的展開が「そこまできたか」と心に沁みる。

恐竜時代への転換的作品

『ジュラシック・ワールド』は『ジュラシック・パーク』の続編的色彩が強いが、実はこの次の作品への序章の役割を果たしていた。ここからの成りゆきを理解するには、この作品は必見なのである。2018年公開の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』がどうだったか思い出してみよう。

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』© 2018 Universal Studios. All Rights Reserved.

とうとう本格的な恐竜時代の到来である。捕食者の頂点に立つのは人間なのか、恐竜なのか。個人的な見解を述べれば、人間がやっていることにろくなことがないのはすでに歴史が十二分に証明している。恐竜は自分たちの行いによって絶滅したのではない。外的要因によるものである。殺し合うことはあっても飛び道具なんてないし、鉄砲も大砲も原爆も作らなかった。生態系が維持できていたという意味では恐竜時代の方がずっと健全である。

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』© 2018 Universal Studios. All Rights Reserved.

どうもメイキング映像を見ている限り、マイケル・クライトンもスピルバーグもそんなことを考えていた節は全くないのだが、映画を観て何を思うかは観た者の自由である。

恐竜の時代がやってくる。私たち人間に選択の余地はない。恐竜様が気に食わない奴はみんな食われてしまう。草食恐竜たちは十分な植物がないので、コンクリートのビルなんてどんどん潰しちゃうぜ。地球温暖化と相まって、そこからじゃんじゃん草が生えてきて、ジャングルと化し、ステゴサウルスもブラキオサウルスも幸せに暮らせる地球に変わるのである。

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』© 2018 Universal Studios. All Rights Reserved.

『ジュラシック・ワールド3(仮題)』は2021年に公開の予定らしいが、もう待ちきれなくて、胸が潰れそう。とにかく、それまでは死なずに待っているつもり。

しかし、最近あれだ、ティラノサウルスには羽毛が生えていたとか、とてもじゃないけどあんなに速くは走れなかったとか、あんな声で咆哮を上げてはいなかったとか、新たな情報がやたら聞こえてくる。恐竜研究はこのところ凄まじい勢いで進んでいるらしい。多分、みんな『ジュラシック・パーク』を観て恐竜にのめり込んでいったのだと思うが、どうなの。ティラノサウルスに羽毛があって面白いかい。速く走れないと捕食できないじゃん。もし猫みたいな鳴き声でしたということになったらどうするつもりなの。俺の夢を壊さないでいてくれまいか。そこのところだけは新しいことがわかっても発表しないでおいて欲しい。

文:大倉眞一郎

『ジュラシック・ワールド』はCS映画専門チャンネル ムービープラスにて2019年7月放送

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』 Blu-ray:1,886円+税/DVD:1,429円+税 発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント ※2019年7月の情報です

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