廃校が決まった高校の同窓会費はどう使われたか

 創立40年の大阪府立柏原東高、愛称はベトナムへ

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2020年度末に廃校となることが決まった大阪府立柏原東高

 少子化により全国で今、学校の統廃合が進められている。大阪府では条例の規定により、3年連続定員割れとなった府立柏原東高の2020年度末での廃校が決まった。「あまりに機械的な決定だ」「母校にもう価値がないのか」。在校生や卒業生がネガティブな気持ちに沈む中、何かできることはないかと、同窓会が動き出した。そして、母校の愛称はベトナムの学校校舎に継承されることに。その軌跡を追った。

 ▽1千万円近い同窓会費の使い道

 柏原東高は1977年創立。地元では「かしとん」の愛称で知られる。同窓会には卒業生や勤務した教員ら約1万1千人が名を連ねる。だが2015年から3年連続で定員割れした。その頃、学校の備品購入などに充ててきた同窓会費は1千万円近くにまで積み上がっていた。廃校を前に使い道を議論したが、妙案は出なかった。そんな時、柏原東高の元教諭で同窓会の顧問近田直人(こんだ・なおと)さん(56)は、偶然参加したセミナーで、アジアでの学校建設を支援する認定NPO法人「アジア教育友好協会」の存在を知る。

 ▽「かしとん」、海を越える

 「これや、と思った。卒業生の無念を晴らし、恵まれない子どもたちの支援もできる」

 協会から紹介されたのは、ベトナム北部バクザン省にある農村地域の小学校分校。貧しい家庭の小学生約90人が通う。校舎の中は薄暗く、トイレもない。同窓会は1月の総会で、協会を通じて会費800万円を寄付し、新校舎建設を支援するという近田さんの提案を承認した。新校舎の名称は「かしとん」。柏原東高の愛称は海を越え、ベトナムの小学校に引き継がれることになった。

大阪府立柏原東高の同窓会が支援する、ベトナム北部バクザン省にある農村地域の小学校分校(アジア教育友好協会提供)

 ▽同窓会費活用の参考事例にも

 計画では、19年度中に新校舎が完成する予定。広い教室や校庭、トイレも整備される。ベトナム語に訳した校歌や、校章をあしらったモニュメントなど柏原東高の面影も残す。「両校の生徒や児童が交流する場も設けたい」と近田さんは考えている。さらに「今後、柏原東高のように廃校が決まった学校で、同窓会費の使い道の事例として参考にしてもらえればうれしい」と付け加えた。

柏原東高と近田直人さん

 近田さんがインターネットのブログでこの取り組みを紹介すると、卒業生からコメントが寄せられた。「廃校になると聞いたときは本当に悲しく言葉になりませんでした。でも先生の記事を読み、心に光が射した気持ちです」。近田さんは「卒業生にとって、これからはベトナムの子どもたちが後輩。かしとんの歴史はこれからも続いていく」と笑顔を見せた。(共同通信=野沢拓矢)