朽ち果てた星が遺した赤の印

この赤く広がるガス雲は「Abell 24」と呼ばれる、こいぬ座の方向に位置する惑星状星雲です。

惑星状星雲とは、太陽と同じ様な質量を持つ恒星がその最後を迎えた姿です。大質量星が起こす超新星爆発とは異なり、赤色巨星となった星が自らの外層を放出し、ガスや塵を宇宙空間に吹き飛ばします。その後、白色矮星へと進化した星から放射される強力な紫外線に照らされた周囲のガスが、様々な形状を持つ惑星状星雲として映し出されます。

この「Abell 24」は、ESOの超大型望遠鏡「VLT」のFORS2カメラの可視光およびHα線を用いて撮影したもので、爆風の一瞬かのような美しい姿を捉えています。

また、私達の太陽もすでに水素燃料を半分程度使用済みであると見られ、残りの寿命は約50億年程度と考えられています。太陽の最後も「Abell 24」と同じく、中心角の水素を使い切った後に膨張し、赤色巨星へ進化していきます。その際の大きさは、水星や金星は完全に飲み込む程。後に一旦縮小し、再度膨張すると現在の地球の軌道付近まで達する可能性がありますが、地球が飲み込まれるかどうかは、今後の太陽質量の減少に左右されるかもしれません。

私達は太陽の最後を見ることはできませんが、願わくば「腐った卵星雲」の様なネガティブな名前の付かないような美しい惑星状星雲になってほしいものですね。

Image Credit:ESO
https://www.eso.org/public/images/potw1927a/

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