引き揚げ死没 記憶継承へ 浦頭検疫所跡に供養塔

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供養塔を除幕する森川さん(右)ら=佐世保市、浦頭検疫所跡

 戦後の引き揚げで命を落とし、浦頭検疫所(長崎県佐世保市針尾北町)でだびに付された人を追悼する供養塔が完成した。12日は検疫所の跡地で除幕式があり、住民らが無念の死を遂げた人々に思いをはせた。
 浦頭港には戦後、約140万人が引き揚げてきた。約3800人が船内や上陸後の検疫中に伝染病や栄養失調で命を落とした。死没者が多かったため火葬場だけでは対応できず、検疫所の敷地内に穴を掘って遺体を並べ、火葬をしたという。
 検疫所跡には、幼少期から近くで暮らし、登下校中に火葬の様子を見ていた森川普(すすむ)さん(83)が、約30年前に地蔵菩薩(ぼさつ)を設けていた。継続的に供養ができる環境を整えようと針尾地区自治協議会(冨川安憲会長)が市の補助を受けて供養塔を設置。今後は毎年8月に慰霊祭を開き、管理を担う。
 除幕式には約40人が参列。冨川会長は「地元で起こった戦争の惨禍を次の世代に伝える必要がある。供養塔をきっかけに一丸となって記憶を継承したい」と決意。朝長則男市長は「悲しみの歴史を繰り返さないよう努力したい」と述べ、森川さんに感謝状を贈った。
 森川さんは「遺体を焼く音や臭いなど、光景は目に焼きついている。供養ができる場所ができて安心した」と話した。