特急かもめ損傷 事前報告せず掘削 JR九州に鉄道・運輸機構

トンネル上部のボーリング工事現場=12日午後、長崎市川平町

 JR長崎線の浦上-現川間のトンネルで11日、トンネル天井を突き抜けた掘削機材が当たり運行中の特急かもめが損傷した事故で、工事発注元の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が掘削の事前報告をJR九州にしていなかったことが12日、同社などへの取材で分かった。
 同社は国の建設工事公衆災害防止対策要綱に基づき、鉄道の近接工事の際には原則、事業者から事前連絡を受け、協議した上で可否を決めている。同社は「事故が起こるまで工事のことを認識していなかった」、報告がなかったことについて「原因調査中のためコメントを差し控える」としている。
 同機構は「作製した図面ではトンネルには当たらない想定だったため、JR九州側には事前報告をしていない」と説明した。
 県警は12日午後、工事現場を実況見分。「さまざまな情報を収集し事実確認をしていく」としている。
 同機構などによると、掘削は九州新幹線長崎ルートのトンネル工事に伴う渇水対策のため2日から実施。11日、ボーリング調査中に掘削機材がトンネル天井を貫通し、接触した車両の先頭と左側面が損傷した。事故を受けて同機構は、14日の同ルートの久山トンネル貫通式を中止した。

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