どうなる若者の投票率 模索続く教育現場 同世代が啓発も

期日前投票で1票を投じる生徒=大村工高

 2016年6月に選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられ約3年。令和最初となる今回の参院選で若者の投票率はどうなるのか。「政治参加」への関心を高めようと模索を続ける主権者教育の現場や若者自身の取り組みなどを追った。
 6月下旬、県立長崎北陽台高。演説を聞いた全校生徒が“有権者”として1票を投じていった。本物の投票箱などを町選管から借り、同校が主権者教育として取り組んだ模擬選挙。本番さながらの雰囲気に、3年の徳永翔夢(とむ)さん(18)は「体験したことで(実際の投票も)緊張せずに臨めそう」と話した。

◎19歳では低下
 「18歳選挙権」導入を受け、県内の各高校は地元の選管とも連携し、主権者教育を実践。試行錯誤を重ねながら、模擬選挙や講話などで当事者意識を育んでいる。投票日には満18歳になる生徒が17歳の時に選挙権を行使する場合、「期日前投票」ではなく、例外的に「不在者投票」。私立高の担当教諭は制度の複雑さを口にし、「生徒たちには丁寧な説明が必要」と気を引き締める。
 県選管によると、県内の18歳、19歳の投票率は、▽16年参院選選挙区(18歳44.16%、19歳34.02%)▽17年衆院選小選挙区(52.46%、29.12%)▽18年知事選(35.79%、15.73%)。いずれも高校を卒業した19歳では低下しており、関心をいかに維持、向上させていくかが課題だ。
 こうした中、若者自ら同世代への啓発に取り組んでいる団体もある。今月7日、県立大シーボルト校であったワークショップ。学生約20人が若年層の投票率が低い理由や対策などについて意見を交わした。企画したのは県内の学生らで組織するNPO法人ドットジェイピー長崎支部。「大学の単位にする」「抽選で特産品を贈る」-。参加者らは投票所に足を運びたくなるようなアイデアを提案していった。朝永絢音代表(20)は「政治や議員に関心を持って関わると、堅苦しいというイメージが変わる。少しでも若い人に政治を身近に感じてほしい」と話す。

◎“選挙カフェ”
 市民レベルのユニークな試みも。長崎市出島町でカフェ「わかば堂」を営む男性(42)は「長男が18歳になったこともあり、自分たちにも何かできないか」とカフェ仲間と“選挙カフェ”を企画。同店では15日、「投票に行く(行った)」と宣言した来店者にクッキーを贈る予定だ。「投票に行くことが習慣につながれば」と願いを込める。
 県選管は今回から、「県明るい選挙推進サポーター」として活動する学生らの啓発アナウンスを県営バス車内や県庁内で放送するなど、新たな取り組みも始めた。各市町選管が県内高校に設けた期日前投票所も10市町28校と過去最多で、前回参院選の3市5校から大幅に増えた。11日、県立大村工業高。初めて1票を投じた3年、松岡拓実さん(18)は「平日に学校で投票できるのは助かる。自分の1票が影響する年齢になったと実感した」と笑顔を見せた。

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