社説:【参院選】アベノミクス 曲がり角迎えたのでは

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 総資産で地方銀行首位の横浜銀行と3位の千葉銀行が先日、幅広い分野において業務提携することで基本合意した。

 もちろん収益増を狙っているのだが、強者同士の連携にも関わらず、周囲からは両行の生き残り戦略と受け止められている。

 それは、地銀の経営環境が厳しさを増しているからだ。

 2019年3月期決算で、東京証券取引所などに上場する地銀の純利益合計は、3年連続の減少となった。日銀は、10年後に地銀の約6割が赤字になるという試算を公表した。政府も、合併などによる再編を後押ししている。

 地方の人口減や事業所流出も当然、影響しているだろうが、根本的な原因は、超低金利が長期化して、長期と短期の利ざやで稼ぐビジネスモデルが、成り立ちにくい状況にあるとされている。

 超低金利は、安倍晋三政権の経済政策の柱である大規模金融緩和に伴い生じた。アベノミクスの副作用が、地銀や、その存立基盤である地域経済に、悪影響を及ぼしている、といえよう。

 アベノミクスは、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略の「三本の矢」によって、成長と分配の好循環をつくりだそうとするもので、始まってから7年目に入った。

 これまでに、日銀の大規模金融緩和で円高を是正し、株高を呼んで、企業の業績を回復させた。有効求人倍率を押し上げ、雇用状況も改善している。

 一方で、年2%の物価上昇率など、設定した目標を達成できていない。

 多くの国民が、景気回復を実感できずにいる。厚生労働省が発表した5月の1人当たりの名目賃金と、物価の影響を加味した実質賃金は、前年同月を下回った。ともに5カ月連続のマイナスだ。

 企業が蓄える巨額の内部留保を、投資や所得に振り向ける工夫が要る。副作用も顕著となった。アベノミクスは、曲がり角を迎えたのではないか。

 米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題、イラン情勢などの影響で、世界経済に陰りが見え始めた。10月には、消費税率の引き上げが控えている。景況感が悪化し、日銀は緩和策を継続すると決めた。

 日本経済の正念場である。金融緩和や単なる分配にとどまらず、成長を促し、好循環をもたらしたい。実効性を備えた具体策はあるのか、与野党に問われている。