<レスリング>アジア・ジュニア選手権(タイ)出場の女子チームが帰国

全階級でメダルを取り、タイから帰国した女子チーム

 タイ・チョンブリーで行われているアジア・ジュニア選手権に出場した女子チームが7月13日、羽田空港着の日本航空で帰国した。4階級で優勝し、出場全選手がメダルを獲得。女子チームでは、昨年9月の世界ジュニア選手権に続いての全階級メダル獲得となった。

 笹山秀雄監督(自衛隊)は「国際大会が初めての選手もいる中で、目標だった全階級メダル獲得を達成できたのはよかった。それでも、反省点は多くあるので、今後、全日本合宿に来てもらって強化したい」と、喜びの中にもかぶとの緒を締めるコメント。好成績を呼び込んだのは、「どの選手も最後まで諦めずに闘ってくれたこと」と振り返り、「技術的なことをもっとやっていけば、これからも伸びる選手が多くいる」と総括した。

 吉村祥子コーチ(エステティックTBC)は「日本は(ジュニアクイーンズカップの)2位選手だけど、他国はベストに近いメンバーだったと思う。その中で、重量級を含めて全階級でメダルを取れたのは、今後に向けていい結果だった」と言う。

 ただ、外国はレスリングを始める時期が日本より遅いので、ある面では当然の結果と見ている。「ジュニアからシニアになるにしたがい、差は小さくなってくる。ここから強化が始まる。今回の結果を大切にし、さらに強化していきたい。ナショナルチームのコーチと地方の指導者とが一丸となって選手を育てていきたい」と話した。

 この時期のチョンブリーの気温は、最高が30度前半で、夜の最低でも20度後半。体育館はエアコンがなく、扇風機が回る中での試合となり、いつもとは違う環境下での試合だった。2014年5月にアジア・カデット選手権で同地を訪れている吉村コーチは「その時に比べれば、大丈夫でしたよ」と平然とした様子だったが、「日本でも、時には暑い環境の下で練習することも必要なのかな、と思いました」-。恵まれた環境下だけでの練習への警句か?


金メダル獲得選手。左から吉元玲美那、今井佑海、澤葉菜子、小玉彩天奈

 ■50㎏級優勝・吉元玲美那(至学館大=2年連続優勝、カデットを含めて3度目のアジア制覇)「決勝は危ない試合でしたが、優勝できてホッとしました。決勝までは失点がなかったのに、決勝はポイントを取られ、焦ってしまったところがありました。準決勝までは満点と言えるかな、と思います。前回の国際大会よりは攻められましたが、まだ攻め切ることができず、詰めの甘さがあるので、どんな時でも攻めきれるよう、精神的な強さを身につけたい」

 ■53㎏級優勝・今井佑海(日大=昨年の世界ジュニア選手権に続く優勝)「去年も優勝しているので、今年も絶対に優勝という気持ちで臨みました。無失点で優勝できたのはよかったのですが、自分のレスリングができず、攻めが単純になってしまった部分もあるので、ここを修正したい。組み手を工夫したい。防御は(3試合で無失点だったので)満点とは言いませんが、いつもよりはできたと思います。このあと、来月にインカレがあるので、表彰台に登りたい…、いえ、優勝を目指します」

 ■57㎏級優勝・澤葉菜子(至学館大=3試合すべて第1ピリオドのテクカルフォール勝ちで、昨年の世界ジュニア選手権に続く優勝)「自分の持っているレスリングができてよかったです。内容も満足しています。去年、世界ジュニア選手権で優勝していて、アジアでは負けられない、という気持ちが試合に出せた結果かな、と思います。国内ではまだ結果を出せていないので、出せるように、しっかり練習したい」

 ■62㎏級優勝・小玉彩天奈(早大=昨年の世界ジュニア選手権に続く優勝)「優勝できてホッとしていますが、決勝は自分の体力のなさを実感しました。試合前は勝つ強い気持ちがありましたが、ばててしまって、ローリング2回返されて、負けてもいい、という気持ちがよぎってしまいました。試合が終わったあとは歩くこともできないほどでした。みっともない試合だったと思います。世界ジュニア・チャンピオンとしてのプレッシャーはありましたが、勝たなければ、という気持ちに切り替えられて臨めたことはよかったと思います」

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