令和の選択 参院選長崎終盤ルポ・1<長崎市> 共に危機感、焦り

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候補者の演説に耳を傾ける有権者=長崎市内(山口隆行撮影、画像は一部加工)

 自民現職、古賀友一郎候補(51)と国民民主新人、白川鮎美候補(39)による一騎打ちを軸に繰り広げられている参院選長崎選挙区(改選数1)。県都や離島など県内各地の終盤の情勢を追った。
 「まだ2万票ぐらい負けている。何か手を打たないといけない」
 11日夜、長崎市内。医療関係者らを前に、医師で同市を選挙区とする冨岡勉衆院議員は、県都での古賀候補の戦いに危機感をあらわにした。
 2016年参院選長崎選挙区、17年衆院選長崎1区と、自民候補は野党候補に県都で連敗。今回、自民県連幹部は「県都で何とか粘って、県全体で逃げ切る」との青写真を描くが、内部からは「どうせ県都では勝てない」と冷ややかな声も聞こえる。
 陣営の危機感とは裏腹に、古賀候補は選挙演説で「健康寿命の延伸」「(エネルギー政策として)水素社会の実現」の持論を繰り返す。支援する県議、市議らは「もっと県民に身近な地元の話をしてほしい」とため息をつくが、本人は「私のスタイル、考え方を分かってもらうのが選挙」と気にするそぶりがない。
 12日夜、市内であった古賀候補の総決起大会。党実力者の林芳正前文部科学相が駆け付けたにもかかわらず、約2千人収容可能のホールは半分程度しか埋まらなかった。「(動員力に対して)ホールが大きすぎる」。ぼやく関係者をよそに終了後、古賀候補は報道陣に満足げにこう語った。「林前文科相は私がお願いして来てもらった。(8日に応援演説してもらった)石田真敏総務相も日ごろの付き合い」
 「これでまた差が開いた」-。8日、市中心部の鉄橋。白川陣営関係者は目の前のフィーバーぶりに肩を落とした。群集の中心にいたのは古賀候補の応援演説で本県入りした自民の小泉進次郎衆院議員。現場は多くの市民でごった返した。
 「政治を変えよう」と訴える白川候補。だが、関係者は街頭活動する本人の周囲に人がまばらな様子に「人を呼ぶには人。動員が全然足りない」と頭を抱える。反転攻勢には浮動票の取り込みが欠かせないが、「(国民民主には)小泉氏に匹敵する有名人がいない」。陣営幹部は嘆く。
 小泉フィーバー翌日の9日。「白川候補が選挙で勝ち上がるには、長崎市民の力が何としても必要」。県都を地盤とする国民の西岡秀子衆院議員は、市内であった白川候補の決起集会で県都決戦への決意を口にした。連日、つじ立ちなどで白川候補への支持を訴える西岡氏。前回参院選では今回の白川候補と同様に野党共同候補として争い、県都で自民候補に約2万2千票の差をつけた。だが、白川陣営関係者は、亡父・武夫氏からの知名度を生かし保守層にも浸透する西岡氏と白川候補とを単純には並べられないとして、県都での票の行方をつかみあぐねている。
 梅雨空が広がった13日、てこ入れに必死の白川陣営は鉄橋からアーケードへと練り歩き、無党派層に「百人の一歩は未来を変える」と呼び掛けた。関係者は焦りの色をにじませる。「長崎で勝たないとどうしようもない」