夢は五輪で金メダル 競泳バタフライで世代別日本代表に選ばれた 太田紗彩(14)

泳ぐたびに記録を更新して、シニアの代表入りも視野に入ってきた太田=北松佐々町、佐々スイミング・スクール

 6月初旬の競泳ジャパンオープン女子200メートルバタフライ。一般、大学の精鋭がそろう中、まだあどけなさの残る14歳がB決勝で6位と健闘した。「大会前にいい記録を出していた。もっと上に行けた」。志佐中2年の太田紗彩(佐々SS)は納得していなかったが、日本水泳連盟はこの逸材を見逃さなかった。アジアエージグループ選手権(9月・インド)の日本代表に選出された。
 志佐小6年で短水路と長水路の日本学童記録を樹立。5月には長水路の自己記録を約4秒更新する2分12秒15(県新)をマークした。シニアで上位争いができるレベルまで、一気に駆け上がってきた。
 速さの要因の一つが膝関節の柔軟性。直立した際、脚が前方に弓状に反るほど軟らかい。この膝から下の広い可動域が、大きくしなやかなドルフィンキックを生み出している。
 昨年は精神面でも成長を促される機会に恵まれた。11月に憧れの池江璃花子(ルネサンス)や長谷川涼香(東京ドーム)と同じレースに出て、12月は高校生以下のナショナルチーム合宿に参加。「リラックスと集中の切り替えがすごい。練習もすごい」。あらゆる面でトップスイマーたちから刺激を受けた。
 現在の身長は155.5センチ。まだ華奢(きゃしゃ)な体つきで、それが逆に大きな将来性を感じさせる。4月から1.5センチ伸びるなど成長期の真っただ中。幼少期から指導している河田純コーチは「ストロークの改善と身長の伸びで大幅にタイムを縮めることができている。あと3~5センチ背が高くなればシニアの代表入りも夢ではない」と期待する。体の自然な成長を妨げないよう、1日に泳ぐ距離は他のトップ選手の3分の2程度に抑えている。
 競泳に真っすぐな情熱を注ぐホープの夢は、もちろん「オリンピックで金メダル」。かなえるのは19歳で迎える2024年パリ大会か、28年のロサンゼルスか。20年東京五輪の派遣標準記録までもあと4秒66。日本中に注目される日は、案外近いかもしれない。

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